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星野 誠
技術者の知的生産性向上と職場活性化の現実

第6回 知恵集めは協働作業

 本コラムでは、技術部門の職場の現実を直視しながら「技術者の知的生産性向上と職場活性化」を考えていきます。「慢性的に忙しく元気がない」職場を真に活性化するためのヒントを提案していきたいと思います。第6回目は、知恵を集めるチームの姿について考えてみたいと思います。

チームという体験を日常で得るには...

 みなさんの中でも「チーム力強化」「チームワーク発揮」などの方針のもと、職場環境改善に取り組まれている職場も多いかと思います。

 最近はチームビルディングの手法として、チームで協力しながらフィールドアスレチックのコースに取り組んだり、即興劇(インプロビゼーション)で体を動かしたり、単なる机上研修を超えた各種教育も行われてきています。

 手段はいろいろあるかと思いますが、チーム全員が集中した場の中で身体的な動きも駆使し、目的の形をつくり上げていく一連の取組みは、チームにとって共通体験が積み重なる貴重な時間になると思います。

 会社によっては、職場の飲み会や社内運動会などの機会も減っているような昨今の職場環境の中で、「同じ釜の飯を食い」「結束力を高める」体験が刺激として有効なのかもしれません。ただし、これをたまの刺激としてやるだけでは、単なる楽しい思い出だけで終わってしまう可能性もあります。

 また、技術部門においては人間関係を良くするだけでは解決しない技術的な課題が目の前にあり、チームとしての問題解決力向上も常に求められています。

 では、日常のチームで日常業務をする中で、どのような体験が求められているのでしょうか。

日常業務の中に協働作業の場があるか

 日常でチームが集まる場として進捗会議が行われているかと思います。ただし、進捗(確認)会議という名が体を表してしまうと、上司が進捗を確認し計画の予実管理すること、部下が進捗を報告することが主目的の会議になってしまいかねません。その結果、管理的な会議に慣れ親しんでしまうと、マネジャーもついつい「管理しなくては」、部下も「報告しなくては」の雰囲気になり、上司からの一方通行の「確認会」になってしまいがちです。

 もちろん、情報共有としての意味はありますが、これだけではチームの知恵を集めた問題発見と解決が促進されませんし、チームの体験にはならないでしょう。アスレチックや綱引きではチーム力を感じられるのに、せっかく集まっている日常業務の場でチーム体験を感じられにくいのは、そのような協働作業の場になっていないということです。

知恵を出し合う協働作業がチーム体験となる

 日常においてチームの協働作業を当たり前に行うカギが計画づくりです。

 チーム全員の知恵を集めて見える計画づくりを行うことがチームの一体感を生み出します。計画づくりは、"づくり"の部分に意味があります。各人がエクセルで線を引いた計画をつくり、パソコンの中のデータをプロジェクターで映しながら進捗を説明するだけでは協働作業にはなりません。

 たとえば、模造紙を机の真ん中に広げ、チームで囲みながら、困っている課題についての資料や図面を全員で眺め、課題を紙や付箋にどんどん書き出します。手を動かし、線を引き、付箋を並べかえ、知恵を出し合い、アウトプットのイメージを絵にして、課題解決に向けた作戦のストーリーを立て日程計画に落とし込んでいく......、そんな見える計画づくりの協働作業そのものがチーム体験となり、問題解決の促進と併せてチーム感を醸成していくのです。

 課長もベテランも目の前に解決しなければならない技術課題が具体的に見えるようになれば、ひとりの技術者の顔となり、自身の豊富な経験からの助言や知恵を出してくれるはずです。上司、部下の関係がなく、技術課題を突破する目的を共有した協働チームとして、皆で課題をばらして計画をつくり、先の見通しをつくることが、チーム体験になっていくのです。

 年に1回の運動会だけではなく、日常の進捗会議で"チームで綱引きをしよう"というのがチームでの見える計画づくりなのです。

「見える計画づくり」が「チームづくり」になる

 かのチェスター・バーナード(1886-1961年、米国の経営学者)は、組織が成立するための3条件として、

  • 共通の目的
  • 協働する意欲
  • コミュニケーション

の3つを示しました。現実視点で前向きな意訳をすれば、チームをつくるには、チームで綱引きをしよう、チームで見える計画をつくろう、といっているように思います。

 ちなみに、"計画"という文字ですが、漢字の由来を探ると、

「計」=「言」+「十」

は、口に出して物を数える、多くの物事をまとめて数えるという意味の会意文字で、

「画(畫)」=「聿(ふで)」+「田一(田を区切る)」

は、区切りながら線を引きながら考えるという意味の会意文字のようです。

 計画の文字を眺めていると、"話す書く""手を動かして考える"というアクティブな作業を求めているように見えてきませんか。

 グループ(単なる集団)をチームたらしめる協働作業の場として、見える計画づくりを活かしていただききたいと思います。

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 次回は、よくありがちなマネジメントスタイルについて考えてみたいと思います。

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コンサルタントプロフィール

星野 誠

KIセンター チーフ・コンサルタント

星野 誠

技術者や事業スタッフの知的生産性向上と職場活性化を専門としている。知的生産性を妨げるさまざまな問題が絡み合う職場に飛び込み、日常業務の仕事のやり方を具体的に変えていくコンサルティングを実践。300チーム以上の職場変革支援の経験から、やらされ感でなく自分たちで自立して変革を進めるための考え方と実践手法を日々研究している。とくに輸送機器業界や精密機器業界など製造業の開発設計/技術部門における変革活動の支援経験多数。


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