ビジネスインサイツ79号

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- ターボ分子ポンプは世界トップシェ
確な判断を支えています。
用いられ、救急現場では迅速かつ的
です。循環器や脳血管の治療などで
す。創業以来続く﹁ 正確さ ﹂へのこ
信頼性と長期供給体制が求められま
機の安全性に関わる部品には、高い
置 ︶を供給しています。とくに航空
ク チ ュ エ ー タ︵ エ ネ ル ギ ー 変 換 装
つ目は航空機器事業です。防衛
や民間航空機向けに、精密部品やア
解 や 好 奇 心 が 必 要 で あ り、そ れ が
な連携には、まず幅広い分野への理
レーションするのではなく、本質的
ですが、島津製作所では単にコラボ
小澤 外部との連携はサステナビリ
ティ経営においても重要なポイント
の技術力の研鑽につながっていま
アです。現在の事業全体についてお
伸びてきているのは産業機器事業
です。ターボ分子ポンプをはじめ、
だわりが、こうした分野でも生きて
くで高精細な画像を提供できる製品
聞かせください。
半導体など新たな分野の発展に貢献
で知られていますが、産業機器でも
上田 私どもの事業は つのセグメ
ントに分かれています。主力は計測
する産業機器を提供しています。半
めています。食品中の成分や医薬品
導体業界では、高い精度で真空を制
いるのです。
あって初めて﹁ 何と何を組み合わせ
す。
機器事業で、売り上げの約 %を占
の分析、環境汚染物質の検出など、
ニークな考え方や創造性を重視する
文化 ﹂があるとお聞きしました。ユ
上田 そのとおりです。
視点があるということですね。
ると何が生まれるか ﹂という発想が
御できるかが製品の命運を分けます
あらゆる分野で活用されているもの
が、ここでも私たちの精密機器の技
生まれる。つまり、連携には土台と
術が生きています。
なる学びや探究心が不可欠だという
です。最近ではメンタルヘルスや感
取り組んでいます。
もうひとつは、外部の方々や機関
との共同です。足もとの業績をしっ
中から生まれました。
ルスの試薬も、そういう企業風土の
て資産として残る。新型コロナウイ
ますが、そこで得られた知見はすべ
の、売れないもの、どちらも出てき
う ﹂という企業風土です。売れるも
要 望 に 応 え る た め に﹁ や っ て み よ
論する場があります。まずは顧客の
古くから技術者たちのアイデアを議
上田 私どもは長い歴史の中で﹁ 開
発会議・技術会議 ﹂を重視しており、
言われていますが、社会実装にはこ
共鳴、共創 ﹂はいろいろなところで
ンが生まれ、
つながっていく。﹁共感、
鳴という形で広がっていくこと。す
な共感で終わらずに、多くの人に共
が必要です。そこでは単なる一時的
んダメで、社会が共感するシナリオ
い売ってきてください、ではもちろ
上田 いちばん大事なのはシナリオ
づくりですね。製品を開発して、は
お考えでしょうか。
装するためのポイントはどのように
する ﹂ですが、事業や製品を社会実
小 澤 島 津 製 作 所 の 経 営 理 念 は
﹁
﹃ 人と地球の健康 ﹄への願いを実現
かり上げていく一方で、中長期的な
るとそこで、共創、コ・クリエイショ
テーマを多くの専門家や先生方と共
れが不可欠です。
のでしょうか。
メカニズムはどのようになっている
企業風土は創業の源流にあると思い
ますが、それを維持してきた組織の
業とも言えます。血管撮影システム
X
︵トリニアス︶
﹂は、低被ば
﹁ Trinias
社会実装のための
シナリオづくり
線診断装
次 に 医 用 機 器 事 業。
置をはじめとする画像診断装置は祖
データ化するという新たな領域にも
性 測 定 な ど、人 間 の 感 情 や 感 性 を
小澤 まさに﹁ 科学を実学に ﹂を実
践 さ れ て い ま す ね。島 津 製 作 所 は
「 技と業 」の融合をコンセプトモデルとして「 蒔絵 」を施した液体クロマトグラフを製作
﹁ 技術者のチャレンジを否定しない
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同研究・共同開発する。これが島津
Business Insights Vol.79
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I N T E R
TERUHISA UEDA
T O P
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