ビジネスインサイツ79号

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創業の理念が事業に活かされている
すると﹁ 科学は実学である ﹂という
範囲を広く展開されているのを拝見
史の中で培われた優れた技術が応用
小澤 先ほど、最新の医療機器や分
析機器などを拝見いたしました。歴
くことです。
来に向けてアップデートし続けてい
ではなく、伝統の中にある本質を未
す。革新とは、伝統を否定すること
の中に多様性への理解を根づかせて
バーと研究所を運営したのは、自分
文化も言葉も違う中で、多国籍メン
ロジェクトで現地に赴任しました。
アメリカのカンザス大学との共同プ
携 わ り、
な試料の分析が可能です。
年 間、
年に島津製作所に入社
後は液体クロマトグラフの開発に
析、ポリマーの分析など、さまざま
品に含まれる有機酸やアミノ酸の分
含まれる機能性成分の分析や、医薬
が経営者として経営戦略を担う側に
事業部しか経験してこなかった自分
経験があります。しかし、その後は
る対応だった ﹂と評価をいただいた
からの信頼も獲得し、
﹁ 責任感のあ
ことがありました。結果として顧客
現地スタッフと一緒に検証を進めた
とき、自分が真っ先に現地入りして
というスタンスです。たとえば、あ
私は開発部門にいたときから、何
かあれば﹁まず自分が現場に行く ﹂
感した経験でした。
の製品を用いると、データが一瞬の
るものだったのですが、島津製作所
分析機器はデータ処理の手間がかか
です。それまで研究室で使っていた
デモンストレーションに来られたん
あるとき、研究室に島津製作所の
方が液体クロマトグラフの新製品の
グラフの研究に取り組みました。
があったこともあり、液体クロマト
時代は化学を学び、分析化学に興味
重要な品質課題に遭遇したときは、
つを新たなミッションに。さらに、
迅速化 ﹂
﹁サービスマン教育 ﹂の
のクレームゼロ﹂
﹁クレーム対応の
当時は製造能力に課題があり、品
質保証部に異動してからは﹁ 新製品
ことに初めて気づいたのです。
あればそうでない製品もある。その
てを品質保証の観点で見る役割を経
計測機器の のカテゴリー製品すべ
液体クロマトグラフだけでなく分析
たちも同じように取り組んできたわ
けで、その積み重ねが現在の島津に
験しました。すると、優れた製品も
島津製作所の つの柱
医療から航空事業まで
なり、新たな体験で苦労することも
る海外顧客で製品トラブルが起きた
ことがよくわかりました。
くれた経験です。
年から
では、改めて上田会長のご経歴に
ついてもご紹介いただけますでしょ
ありました。
うちに自動計算され、たいへん驚き
小澤 島津製作所といえば分析機器
航空機器
うか。
日本に帰国後、再び液体クロマト
グ ラ フ の 開 発 に 従 事 し ま し た が、
つながっています。私たちが当たり
ました。
﹁これはすごい、優れた技
部員から報告を受けるだけでなく、
産業機器
年に品質保証部に異動に。
前のように持っているものの中に、
術を持っている企業だ ﹂と意識した
自ら現場に出向いて、現場の人達と
たとえば質量分析計のような装置
会話することが問題解決の迅速化に
医用機器
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計測機器
上田 私は山口県岩国市の出身で、
大学から京都に出てきました。学生
守っていくべきものがある。
一方で、
きっかけでした。
つながることも経験しました。現場
やデジタル技術などの新
も、原理は古くからありますが、近
年は
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として取り組んでいることには先人
固執するだけでは成長できません。
液体クロマトグラフというのは、
液体試料にどのような成分がどれく
を自分の目で見て、自ら行動するこ
科学技術で社会に貢献する事業
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らい含まれているかを定性・定量分
技術との融合によって分析のスピー
ドや精度が飛躍的に向上していま
現 在 の 4 事 業セグメント
た文化です。今、私どもが社会課題
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とで周囲を動かす姿勢の重要性を実
京都・三条の島津製作所本社にて、JMAC 代表取締役社長( 現会長 )・小澤勇夫と
析する機器です。たとえば、食品に
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