RD&E マネジメント革新センター
RD&Eマネジメント革新センターは、国を越え、業界・業種を越えて、研究開発、設計、技術に関する経営革新を推進するプラットフォームです。

第13回 開発・技術マネジメント革新大会

 日時・場所

日 時 : 2009年6月17日(水) 9:45〜18:30
会 場 : 東京コンファレンスセンター品川 東京都港区港南1−9−36 アレア品川

 

 革新大会 全体レポート

 今年の開発・技術マネジメント革新大会は6月17日(水)に東京コンファレンスセンター(品川)にて、約300名のお客様をお迎えし、大盛況の内に幕を閉じることができました。これもひとえに皆様方のおかげと感謝申し上げます。
 今年度の大会は、「厳しい時代だからこそ、RD&Eが元気になろう」という思いを持って、今を生き抜く「守り」と次の成長へむけた「攻め」という2つの同時革新を基本テーマに、講演と事例発表、ディスカッションをいたしました。
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 基本テーマ

  「攻め」と「守り」の同時革新  〜未来を見据えた飛躍への基盤づくり〜

 昨年秋から世界的規模で急激に進行している経済不況の中で、多くの企業は難しい舵取りを迫られています。RD&E現場においても、厳しい現状を生き抜くための徹底的な効率化やコスト削減が求められています。しかし、同時に成熟時代を打破し、新たな成長を実現するブレークスルーへの取り組みについても、RD&Eが中核になり進めていかなければなりません。

−厳しい時代だからこそ、RD&Eが元気にならなければならない― 今大会は、そのような思いを持って、今を生き抜く「守り」と、次の成長へむけた「攻め」という2つの期待を担ったRD&Eにおける改革・改善について考えたいと思います。

共通
セッション
◆基調講演
目利き力の本質 −ブレークスルーのイノベーション理論−

同志社大学大学院 総合政策科学研究科 教授 山口 栄一 氏
◆特別講演
研究開発の革新戦略
 −研究開発主導の新事業創造により21世紀型企業に変身−

株式会社テックゲートインベストメント 代表取締役 渡辺 誠一 氏
Aセッション

未来戦略によるロードマップ活動の進化

株式会社村田製作所 鈴木 敏之 氏

Bセッション
世界No.1を目指した企画開発革新活動

株式会社島津製作所 金田 匡規 氏
Cセッション
NEXT〜社員の意識と行動変革を目指して

株式会社NTTデータ 津野 孝 氏
Xセッション

人を中心としたナレッジ・マネジメント推進施策と発展的展開の事例

株式会社山武 鎌田 一宏 氏

Yセッション
QFD→TRIZ→TM による『絶対的強み』の確立

株式会社アイデア 笠井 肇 氏
株式会社コガネイ 片桐 朝彦 氏
Zセッション
技術人材育成への取り組み(ディスカッション)

株式会社島津製作所、株式会社デンソー、株式会社日立国際電気
富士通株式会社、北陸先端科学技術大学院大学(50音順)

セミナーパンフレットはこちらから >> パンフレット (514kb)

 

 

 基調講演
 『目利き力の本質 −ブレークスルーのイノベーション理論−』

同志社大学大学院 総合政策科学研究科 教授 山口 栄一 氏

 3つのブレイクスルーの事例を基に、そのイノベーションに関してご講演いただきました。「知の創造」(研究)と「知の具現化」(開発)の2軸からなるイノベーション・ダイヤグラムという新たな概念を基にして、それぞれのイノベーションの型についてご説明いただきました。
 ブレークスルーに至るキーファクターである回遊的思考(回遊的人間)になるための4つのポイントを示されました。

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@「知」創造の経験
A実存的欲求への忠実さ
B海外生活経験からの多くの回遊的人間との出会い
C様々なバリアを越す勇気
 参加者の方々からは「新しい考え方で、非常に興味深かった」「自社の状況をイノベーションダイヤグラムに当てはめて考えてみたい」といった声があり、盛況のうちに終了いたしました。

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 特別講演
 『研究開発の革新戦略
 −研究開発主導の新事業創造により21世紀型企業に変身−』

株式会社テックゲートインベストメント 代表取締役 渡辺 誠一 氏

 現在の米国金融崩壊に始まる世界経済危機により、短期・中期的な社会的課題(環境、エネルギー、資源、高齢化など)が発生しています。その社会的課題に対応する事業を、人的活性集団を生かして、技術革新を核に興していくことの必要性を主張されました。
 その参考事例として、ソニーの創業、研究開発、挑戦的経営の事例、株式会社テックゲートインベストメントのカーブアウト事例をご紹介していただきました。

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 参加者の方々は、現在の世界経済危機の解決策を探るかのごとく、ご講演に聴き入っていらっしゃいました。

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 Aセッション Technology Innovation
 『未来戦略によるロードマップ活動の進化』

株式会社村田製作所 技術・事業開発本部 
技術企画部 技術企画5課 担当課長 鈴木 敏之氏

 2006年より全社的に取り組まれている未来開発力強化活動(略称:ANEW)の中から、中核的な活動である「未来戦略」への取り組みについてご講演を頂きました。現場には、@積み上げ思考の限界、A組織間の壁が厚く自由闊達な意見が出にくい、といった問題がありました。
 そのような状況から、未来への戦略を描くコンセプトとして、「未来から考える」という新しい視点を提起し、日常から離れた場「横断未来塾」を設定して、知の交流や創発に向けて検討を行いました。

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 また、新規事業戦略の企画においては、事業幹部による未来日記(志とシナリオ)を9ウィンドウズというフレームワーク(イノベーション議論の“海図”となるもの)を用いて半年以上かけて練り上げ、シナリオを具体化されております。
 これらの取組みを通じて、実際に新規事業化プロジェクトが本格化したり、メンバーの意識や行動についても、“〜した“というようなオペレーション型から”〜に気づいた、発展した”といったようなイノベーション型へ変化をするなどの成果を上げられております。
 こうした活動を推進する事務局のお立場から、上記の活動事例とその成果についてご紹介を頂き参加者の方は非常に熱心に聞き入っておられました。
 質疑応答では「新規事業は的をどう絞り込んだのか」「検討した未来戦略は誰が引き取るのか」、あるいは「検討メンバーはどのように人選したのか」「検討メンバーの情報共有はどのようにしたのか」といった、様々な内容の質問、ご意見を多数いただき、活発な意見交換がなされました。

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   FMICホームページのご紹介
   未来構想力強化

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 Bセッション Process Innovation
 『世界No.1を目指した企画開発革新活動』

株式会社島津製作所 分析計測事業部 
試験機ビジネスユニット マネージャー 金田 匡規氏

 関係者の思いや課題認識がバラバラになりがちな商品企画立ち上げ段階において、いかに思い・狙い・課題を共有できる企画プロセスを構築されたかをお話し頂きました。
 企画段階から、商品企画を仮想のカタログという形で表すことで、営業部門や製造部門、海外拠点のメンバーをも巻き込んで、企画への思いを共有し、早い段階から課題(技術課題だけでなく、コストや調達、販売も含めた課題)を洗い出して、知恵を集められたことが商品の成功につながったとのことでした。

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 会場の皆様にも、実際の開発事例を通したお話で、企画開発業務が、関係部署を巻き込んだ、参加意識と納得感の溢れる業務へと変革した様子が具体的に伝わり、質疑応答では次々と質問をいただき、活発な意見交換が行われていました。

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   技術者マーケティング活動「Customer Focus」

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 Cセッション Mind Innovation
 『NEXT〜社員の意識と行動変革を目指して』

株式会社NTTデータ グループ経営企画本部 
経営企画担当(NEXT推進事務局) 課長 津野 孝氏

 社内の制度や仕組みは充実しているものの、社員が主体的に行動せず疲弊していたり、人事が硬直化して横のつながりがなくなるといった「大企業病」を脱出し、自立型組織に向け社員の意識と行動変革を引き起こしていくための「NEXT活動」についてご講演頂きました。

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 活動では、決して強制せず、やりたい気持ちを持った社員一人ひとりが情報交換し、触れ合いながら議論する中で行動に移していくための様々な「場」を作ることの重要性や、経営トップが変革の取り組みを理解し、社員と一体となった取り組みにしていくことの大切さについてお話を頂きました。
 会場からは同じように変革に取り組まれている皆様から、より具体的な活動や取り組みの中での難しさについてなど、活発な質疑応答がなされ大盛況のうちに終了しました。

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   技術 KI 計画
   KI組織風土診断Organization Climates Appraisal on KI-method

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 Xセッション Knowledge Innovation
 『人を中心としたナレッジ・マネジメント推進施策と発展的展開の事例』

株式会社山武  ビルシステムカンパニー マーケティング本部
コミュニケーションマーケティング部 KM推進グループ 
グループマネージャー 鎌田 一宏 氏

ナレッジ・マネジメント(KM)を企業が導入する際、ナレッジを共有できるシステムの導入に注力しまいがちです。今回のご講演では、ナレッジを生みだす人に焦点を当てた活動をについてご紹介頂きました。
 KMの取り組みは、2002年より社員同士がQ&Aを行う「Q&Aコミュニティ」や、社員の得意分野を紹介する「Know Who」を中心に、社員同士でナレッジ共有の意識を醸成しながらスタートしました。

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 2004年からはナレッジ業務の基幹システム「ナレッジデータベース」が立ち上がり、現在ではデータベースへのアクセス件数が当初の9倍、利用者は4倍に膨れ上がりました。また活動の成果として、業務時間を3万8500時間削減できました。
 しかしトップのコミットメントの効果が薄れると、社員のKM推進への意気込みが失われ始めました。その解決の切り札として「KM会議」を開催し、KM推進のための情報交換を部署全員と行いました。それらのKM推進のポイントを当時の様子も交えて、分かりやすくご説明頂きました。
 今後はKMが会社のインフラとなり、KMの成果は効率化から知の創発になっていくという点は、会場の皆さまも特に共感されていました。またKM推進以外の活動においても、今回のような推進の取り組みが参考になるのではないでしょうか。

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   ナレッジマネジメント革新の現場で感じる3つの落とし穴
   ナレッジマネジメント成功への鍵

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 Yセッション Best Design Innovation
 『QFD→TRIZ→TM による“絶対的強み”の確立』

株式会社アイデア TRIZ推進センター シニアコンサルタント 笠井 肇氏

 QFD(品質機能展開)・TRIZ(トゥリーズ:発明的問題解決理論)・TM(Taguchi Method)の3手法を統合適用して、品質革新をもたらす考え方についてご講演頂きました。
 QFDの品質表上の背反特性(トレードオフ)から技術課題を明確化し、TRIZによって矛盾解決のためのコンセプトを考案するという流れや、TMによって品質の作り込みを実現するという一連の進め方についてご紹介頂きました。

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 受講者の方々は、そのような取組内容について熱心に聞き入っていました。

 

株式会社コガネイ 開発本部 開発1グループ 主任技師 片桐 朝彦氏

 QFD→TRIZ→TMの3手法を統合適用し、画期的な製品開発で成果を上げた取り組み事例についてご講演頂きました。
 手法のセミナー日程と開発日程を同期化し、実際の開発案件3件に適用された取り組みをご紹介頂きました。
 ご講演の中では、汎用製品が多いために品質表で顧客用途別にウェイト付けを行ったなど、取り組みの中での創意工夫などについてもお話を頂きました。

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 講演後、会場からは「TRIZのコストダウンへの活用」や「人事制度への落とし込み」などについて質問が挙がり、活発な意見交換が行われました。

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   TRIZ(トリーズ)を活用した感動的技術問題解決

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 Zセッション Next Door
 『技術人材育成への取り組み(ディスカッション)』

参加企業
株式会社島津製作所、株式会社デンソー、株式会社日立国際電気、富士通株式会社、北陸先端科学技術大学院大学(50音順)

 「Next Door」と銘打ち、人材育成の新しい扉を開く着眼を得るという意味、願いを込めて複数のパネラーとオーディエンスが双方向に議論を行いました。
 園木氏(株式会社島津製作所)からは、「教育シート」の導入により若手層がいろいろなプロセスを偏りなく経験できる仕組みや、中堅層前半を対象にした「ビジネス勉強会」などの施策をご紹介いただきました。
 関口氏(富士通株式会社)からは、昨年から取組みを開始された開発者の製造経験により「学習→実習→改善→伝承」という育成サイクルを回す取組みについてご紹介いただきました。

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 荒砂氏(株式会社デンソー)からは、「チーム感」、「納得感」、「あたりまえ感」の頭文字をとった「T.N.A」を醸成する為の、2軸革新活動(KI)によるワイガヤやYWTの取組みをご紹介いただきました。
 森氏(株式会社日立国際電気)からは、執行役会と連携した人材開発計画や、「T字型人材」を輩出する為の技術人材マップの作成、複雑なマトリクス組織のオペレーション力を高める施策などをご紹介いただきました。
 高木氏(北陸先端科学技術大学院大学)からは、「自立」をキーワードとした教育システムの考え方に基づき、課程に応じた教育目的・カリキュラム内容や、後期課程における産学連携を通じた自立の取組みなどをご紹介いただきました。
 オーディエンスからも多数の意見・質問が寄せられ、フリーディスカッションでは、人材のあるべき姿の描き方や、成果主義を前提とした際のチーム力の高め方、ポテンシャルを考慮した人事評価や、人材ローテーションの在り方、若手技術者の「問題発見力」の育成や「自立」を促す為の施策など各パネラーの会社での工夫について闊達な意見交換が行われました。
 最後は会場の熱気冷めやらぬ中、盛大な拍手をもって終了しました。

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   技術人材育成プログラムの開発「RDRM」
   日常業務マネジメント革新(WILL)
   第2回 技術人材教育に関する実態調査報告書

 

 

 

 

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