ビジネスインサイツ59
- ページ: 16
- 16
500 項目を洗い出した。 それを最重要 50 項目 に絞り、さらに A ラン ク、B ランクに分類し て具体的にアクション・ プランに落とし込んだ。 現 在 は、 短 期 の も の、
▲根本 三千夫 氏
その横串しの機能と して本プロジェクトの 推進組織である「品質 保証委員会」を立ち上 げ、JMAC の支援を入 れてトータルで質が上 がる仕組みづくりを目 指したのである。大ま かには、根本氏の品質 保証本部が中心となっ て活動の仕掛けやビジョン展開を行い、JMAC は個々の アクション・プランの進め方や、個別テーマへのテクニカ ルなアドバイスを実施する支援体制になっている。 「当社は、いい指示があればいい仕事をきちっとこなす 企業文化があります。今回のプロジェクトは JMAC の指 導・アドバイスが的確だったので、いい活動になっている と思います」 (富田氏) 。 横串しの効果が出て、活動も自走できる状態になるまで 3 年はかかるのでないかと根本氏は見ているが、 「今の勢 いでいけば、もしかしたら 2 年くらいでは」 (亀ヶ森)と いうくらい現場からの「本気」が伝わるようになった。 活動前は、 何かが起これば現場ですぐに解決してしまい、 後のレポートに残らないことがあった。そのため、検証が 不十分になることが少なからずあったという。 本活動では、 JMAC の指導のもと、レポートとして記録するというこ とを定着させつつ、 「なぜ発生したのか?」をロジカルに 分析するようになったのである。 「なぜ起きたかを深く掘り下げて真の原因を特定して、 解決方法を探っていくと、技術的なこと、あるいは生産計 画までさかのぼって考えるようになりました。自分たちの 問題がロジカルに展開していくことで、何をどう変えたら よいかがわかってくるので、 現場も本気で向き合うのです」 と語る根本氏は、意識改革が着実に進んでいることを実感 しているようだ。今後は研究開発と営業という二大部署を しっかりと巻き込む活動にしていくことがカギになると見 ている。 「それぞれがバラバラに動いてしまうと、自分たちの部 分最適だけになってしまいます。トータルで全体最適を見 る横串しのポジションを担っていきたいと常に思っていま す」 (根本氏) 。
▲富田 晋平 氏
中期のものそれぞれの アクション・プランの 実施段階にある。
500 もの項目が出されたことに対して、根本氏は「海 外工場も含め、よく出してくれたと思います。うれしい意 味で意外でした」と振り返る。 実は従業員から項目を出してもらうに当たって、亀ヶ森 と根本氏でちょっとした「仕掛け」を施していた。 「自分だけで処理できることだけでなく、もし他の工程 でこうやってくれたら助かるんだけど……、ということを 書き出すようにお願いしたのです。そうしたら、お互いに 持ち寄って、これはウチで、これはそちらで、とみんなで 書き出すようになったのです」 (亀ヶ森) 。 根本氏も「自分たちだけでは解決できないことをトータ ルで考えるようになりました。 他のせいにするのではなく、 自分たちができていれば、次工程が助かるということの本 当の意味がわかってきたようです」とプロセスの質を高め ていく意識づけが浸透していることを評価している。
組織に “ 横串し ” をさして 全体最適の成果をねらう
根本氏が何度も強調する「プロセスの質を高めていく」 ためには、部門間の「困りごと」を解決していく必要があ る。サラヤも事業拡大とともに、 急速に組織が大きくなり、 それに対応できる仕組みの構築が追いついていないことを 根本氏も感じていた。 「組織が大きくなり縦割りが進むと、会社全体の戦略が 本当に実践されているかどうかが、見えにくくなります。 個々の製品の品質というより、製品やサービスを生み出す プロセスの質そのものを高めていくには、 組織に “ 横串し ” が必要でした」 (根本氏) 。
- ▲TOP