ビジネスインサイツ58
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を工夫したり、3 番手 4 番手の人が力をつけ成長するので す」という。 のが「理念教育」だ。 「とくに技能系の新人です。何のた めの技能か? を企業理念にそって理解してもらいたいの です。たとえば、当社の社会貢献という大きな目的があり ます。そのための自身の目的、技能者としての誇りや価値 観はしっかりと持つようにと伝えています」と語る。技能 系は各製作所の採用のため、トップから直接企業理念など の話を聞く機会が少ないので、合同訓練の場などで積極的 に伝えていきたいという。 「顧客視点のものづくりは、まだまだこれから。なぜ顧 客視点か? の答えは、やはり理念にあるわけです。三菱 電機の社員は、社会貢献のために集っていること、そのた めの顧客視点であり、そのための利益確保であるなどを、 きちんとした形で教育する機会がほしいのです」と語る。 一方で現場が直面している課題にも目を向ける。現在、 監督者・班長も多様化しているという。 「10 人の班もあれ ば、80 人の班もありますし、若い班長もいます。80 人が 何を考えているか把握するのがむずかしい」という監督者 の悩みに応えるべく、監督者向け教育を体系化して、かつ グローバルにも適用できるようにしたいという。 グローバルを視野に入れた今後の教育のあり方のポイン トとして、石田も「やはり理念、つまりウェイ・マネジメ ントです。グローバルで業績の良い企業はそこがしっかり しています。そして教育の標準化、抜きん出る人の選抜、 この仕組みをうまく構築することが重要です」とまず理念 の重要性を説く。 「もう一段高いレベルの成長」に邁進する三菱電機。そ の成長を支え続ける中核人材は、 今まさに成長過程にある。 「顧客視点のものづくり」の実現は、決して遠い未来のこ とではない。
個人のスキルアップが周囲も 成長させる
確かにエース級が仕事からから抜けると、残された現場 はつらい。技能大会に限らず、HMC の選抜でも課長前の もっとも実務ができる人材が職場から離れることになる。 「どちらも職場はすごく困るはずです。でも、それをク リアすべく工夫するのは、選抜された人を応援する気持ち が育っているから」と織田氏は見ている。 「HMC では生 徒は何度も『ダメ出し』をくらいます。技能大会も 3 ヵ月 の長丁場です。精神的にも肉体的にも相当のレジリエンス (耐久力)が必要で、そのがんばりが職場で見えているか らこそ、自分たちも何とかしなければと考えるようになる のです」と現場の底力を評価している。 織田氏は個人のスキルアップが周囲に良い影響を与える 実例を目にし、 「単に個人を教えて育てるということだけ でなく、個人の成長プロセスが実は周りも巻き込んで、職 場も成長していくことが人材育成の醍醐味」と、人づくり が職場、会社を成長させる原動力であること実感しつつ、 これからの三菱電機を支える人づくりの「あるべき姿」の 模索に余念がない。
三菱電機の企業理念が あってこその顧客視点
織田氏が今後もっとも関心を持って力を入れていきたい
担 当 コ ンサルタントからの一言
「思い・知恵・ウデ」をレベルアップする
さまざまな製造業を見ていると、良い会社は当然のように<人財>のレ ベルが高いことが共通点です。その人財のレベルとは「思いがある+知 恵がある+ウデがある」の3つ。 「思い」とは会社の価値観の共有や帰 属意識・レジリエンスなどのマインドを高めること、 「知恵」は考え抜 く力、 そして製造業なので設計にしても製造にしても「スキル(=ウデ) 」 が必要です。これらの継続的向上が企業成長を決めると同時に、人財育 成は会社・経営者の重要な投資業務だと確信します。
と 内 容 で す !
争 力 あ る 教 育 体 系
左 右 す る の は ︑ 競
人 財 育 成 の 効 果 を
シ ニ ア ・ コ ン サ ル タ ン ト
石 田 秀 夫
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