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営業・マーケティングの知恵ぶくろ

第39回 「ハイ・マーケティング革新型企業を考える  ドライビング・パワー③チャンネル力」

今回は、マーケティング先進企業(ハイ・マーケティング革新型企業)の定性的評価指標のチャネル力を取り上げます。
チャネル力評価の基本コンセプトは、「伸びる顧客への最適ルートが確立されているか」です。市場環境の変化とともに、生産者、流通、ユーザーというチャネル構造の中における力関係が、生産者からユーザーに移ってきています。そのような中、伸びる顧客との密着化を図るための最適ルートをどう確立するかは、企業の重要課題の一つになっています。

JMACでは、企業におけるコンサルティング経験を踏まえた実証研究を通じ、企業のチャネル力を構成する4つの機能として、『需要把握システム』『実販売把握システム』『セールス・フォース』『チャネル改革』4つのマネジメントの仕組みがどの程度確立できているかが重要と考えます(マネジメント・トリガー)。(下図参照)

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それでは、チャネル力のマネジメント・トリガー毎に、その評価内容(マネジメント・リクワイアメント)を解説しましょう。

企業の「チャンネル力」をどう評価するか

まず、『需要把握システム』です。
伸びる顧客への最適ルートを確立するためには、できる限り正確に自社ビジネスの需要を把握することが必要です。どこにどのくらいの需要があるのかを掴まずして、最適ルートを確立することは困難です。

需要把握に当たっては、地域別や主要製品(群)別に把握するだけでなく、顧客毎に把握することにより、どういうルートで自社ビジネス価値を浸透すべきかを考えることができるのです。

また、自社製品/サービスが関わる最終製品購入者の需要動向を把握することは、マクロな需要動向を測る上での情報源となり、自社需要予測の発信者として位置づけられます。 需要は常に変動しています。定期的に見直しすることにより、現在のルートが最適なものかを検証することも必要です。できれば、毎年需要データ内容を見直し、現状の流通ルートの課題を検証することが行いたいものです。 (下図参照)

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2つ目は、『実販売把握システム』です。
自社ビジネスの需要を把握すると同時に、自社ビジネス実績を正しく把握します。ここで、重要なことは、自社ビジネスの実際の販売実績を把握することです。例えば、自社製品の販売ルートが、代理店→小売店→生活者となっているとします。

A代理店の販売高が100万円とします。100万円の内、50万円は代理店の倉庫に在庫として置かれ、残りの50万円が傘下小売店への販売額です。小売店においても同様に、50万の内、30万円は、店頭で生活者に購入され、20万円は、在庫として残っています。
このケースでは、自社製品が実際に買われた額は、代理店段階では50万円、小売店段階では30万円です。自社ビジネスの真の実力を正しく掴むことにより、ルートの適性を判断できるのです。

複数の販売ルートを構成している企業の場合は、特に、この視点を持って自社の販売実績数値を見る必要があります。実績の中身を全体でなく、製品種別に把握することによりルートの適否を判断する材料とします。特に、既存製品と特徴の違う製品を販売するようなケースでは、製品毎に実売額を把握することが大事です。

例えば、高グレード製品を市場投入する際、既存の販売ルートで流しても実績が伸びないことが良くあります。自社製品をターゲットとする顧客に流す最適なルートかどうかを判断するためにも、個別の実売額を把握することが求められます。(下図参照)

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3つ目は、『セールス・フォース』です。
会社の代表として顧客と直接接点を持つ営業マンを中心とした戦力を最大限発揮することも重要なテーマです。競合企業と比較して遜色のない営業マン数を確保することには関心を持っても、営業マンが時間を有効に活用しているかどうかを把握している企業は多くはありません。

貴社では営業マンの稼働時間の内、どの程度の時間を顧客との営業活動に投入しているのか把握していますか。

JMACの調査によると、同様の市場マーケットを担当する営業マンであっても、時間の使い方には個人差が大きいという実態があります。自社のビジネス価値を、顧客に伝えるための時間をどの位確保しているかを確認することが大事です。

また、顧客に自社価値を正しく伝えるため、営業マンに求める役割やその役割を果たすため身につけるべきスキルを体系化することも重要なことです。営業スキルを体系化するメリットとして以下のような点があげられます。

1.自社顧客への営業スキルを向上させるための体系的、組織的な教育が可能になる。
2.経験の浅い営業マンは、スキルの基礎を身につけることにより、営業活動に 幅と深みが出る。
3.ベテラン営業マンは、自己の弱点となっているスキルを身につけることができ、 より高いレベルの営業が
  できるようになる。
4.組織的な営業スキル向上を図るため、各自の強み、弱みを知ることにより、 実戦においてお互いカバー
  できるようにできる。
5.売上高や受注結果の評価が唯一のものさしで、活動自体が短期志向になりがちな営業マンをプロセス
  評価できるようになり、種まき/大型案件などへの取り組み意欲が高まる。

(下図参照)

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最後に『チャネル改革』です。
顧客への最適ルートを構築するため、色々なチャネル活用の検討が必要ですが、そのための検討指標として評価基準の中身を検証することです。流通を活用して自社ビジネスの浸透を行う場合、流通企業の与信力だけでなく、自社ビジネス(製品)をターゲットとする顧客に浸透させる上で、自社が発揮する機能と、流通に期待する機能を明確にしておく必要があります。

多くの業界・企業では、永年の取引を通じ習慣化された評価基準がありますが、中には、取引環境や顧客の変化に対応しきれなくなっています。

しかし、過去の取引制度を変えることに対する内外の抵抗が強く、改革の必要性は理解しても手をつけにくいテーマになっています。
伸び顧客と密着化するため最適なルートを維持し続けるためには、現状をゼロベースで検証する挑戦度の違いが企業の競争力の違いとなって表れてくるのです。 (下図参照)

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皆さまも自社の企業・事業のチャネル力を検証してみる事をお勧めします。

(シニア・コンサルタント 笠井 和弥)

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