2017年6月 204号 「ベンチャー的新規事業の立ち上げ方」

2017年6月

去る6月15日(木)、東京コンファレンスセンター・品川に於いて、
「第21回 開発・技術マネジメント革新大会」が開催されました。
約250名の方々にご参加いただき、盛況のうちに終了いたしました。
ご来場いただきました皆さま、誠にありがとうございました。

ベンチャー的新規事業の立ち上げ方

■新規事業の立ち上げパターン

企業各社の中期経営計画を見てみると、「成長機会の追求による新規事業の創出」
「経営資源の融合で新事業の創出」など新規事業に関する記述が多くなっています。
一般社団法人日本能率協会が実施した「第37回当面する企業経営課題に関する調査
日本企業の経営課題2016」においても、新製品・新サービス・新事業開発は経営課題
の上位に位置付いています。新規事業開発のパターンとしてM&Aなど外部の経営資源を
活用してスピードとスケールを追求した手法が目立っていますが、一方で、社内で
新規事業を開発する取組みも各社で行われています。しかし、社内で新規事業を
開発するときに指摘されるのが、アウトプットが「従来の延長」「発想がありきたり」
になるといった点です。既存事業の組織や人材が中心となり、既存事業の周辺で情報を
集めているため当然の結果と言えます。また既存事業の経営資源を多少組み替えてみても、
なかなか革新的なビジネスには結びつきません。
そこで昨今、再び関心が高まっているのが社内ベンチャーの取組みです。

■今日の社内ベンチャープログラム

1980年代の後半から社内ベンチャーブームがありました。当時の社内ベンチャー制度は、
「社員の活性化」や「起業家精神を持った人材の育成」が主目的になり人材開発部門が
中心となって制度構築をしている事例が多々ありました。制度を導入した会社の中には、
起案した社員を新会社の社長にして事業運営をさせるケースもありましたが、昨日まで
サラリーマンだった人材が今日から事業開発できるわけもなく、多くのベンチャー企業
が失敗に終わりました。
一方、今日の社内ベンチャープログラムは、社員の活性化目的はあるものの、小さくても
キラッと光るビジネスの種を生み出す仕組みとして期待されています。既存事業の延長上
ではなく、個人の研究テーマや社会的関心を出発点として非連続なアイデアを生み出す
仕掛けです。既存事業の中では優先順位が低いが、長期的に必要となる技術をベンチャー
ビジネスとして育成する意味もあります。
このように、社内発新規事業における「ありきたり」を払拭する装置として、社内ベンチャー
プログラムを検討する企業が増えてきています。

■社内ベンチャー推進のポイント

しかし、社内ベンチャープログラムも、既存の延長上の事業開発と同じ評価やマネジメント
をしていてはユニークな芽が潰されてしまいます。まして経営層が既存事業の投資案件と
同じ尺度でベンチャービジネスを評価しては、ほとんどのベンチャービジネスは否定されます。
ベンチャービジネスが潰される先例を見てしまった社員は、その後、自ら手を挙げる行動は
起こしません。そのため、社内ベンチャーを成功に導くには、仕組みを構築しそれを推進する
事務局の力量が重要となってきます。
社内ベンチャー推進のポイントは以下の2点です。

(1)異能な人材を歓迎する

筆者がこれまで出会った社内起業家は、一見すると少し変わったところがあったり、特定の
分野に非常に詳しいとことがあったりします。その人の話を聞いてみると、若くして組合の
委員長の経験がある、単身で海外の国々を回った経験があるなどユニークな経験の持ち主です。
そうした経験が起業の原点かもしれません。事務局はそのような独自性を持った人材を歓迎し、
その良さを引き出す役割に徹することが必要です。

(2)事業感覚を持って支援する

社内ベンチャーは新規事業の開発であり、事務局は事業化を推進する責務と役割があります。
事業化推進を業務として割り切るのではなく、事務局自らも事業を立ち上げる感覚を身につけ、
起業家と伴走する支援が必要となります。

(文責:チーフ・コンサルタント 池田 裕一)