2017年10月 208号 「MOT:技術を核にした事業化展開 ~R&Dと人材育成の変遷~」

2017年10月

秋も深まり、今年もいよいよ紅葉シーズンの到来となりました。
朝夕の冷え込みも厳しくなってまいりましたので、くれぐれもお身体を大切に
実りの秋をお楽しみください。

MOT:技術を核にした事業化展開 ~R&Dと人材育成の変遷~

JMAで実施しているMOT研修(開発・技術戦略養成コース)が今期で11期目を迎えます。
このコースを通じての企業の期待人材像の変遷と今後の課題についてお話し致します。

1.MOT研修の初期

2003年にスタートした当初は、新製品開発の商品企画の練り上げが中心で、1→10を
つくる自領域での拡販でした。マネジメント技術としては戦略の基礎(ポーター)、
マーケティングの基礎(コトラー2.0)とJMACオリジナルの潜在ニーズ探索メソッド、
コスト開発、仮想カタログ、マスタープランが中心の議論でした。
このころは商品企画と新製品開発人材が中心に集まり、NEXT企画・開発とものづくりを
中心に熱心な議論が行われました。新製品開発に関しては、シリーズ開発をいかに効率的
に行うかということが目的でした。固定変動の議論とマスタープランを中心に進めていました。
ものづくりは中国中心の議論で、中国と日本のコスト比較の検討がよく行われていました。
当時はキーパーツを日本から中国に輸送して製造していること、日本の技術者の現地応援
の加算額も多く、結果として日本と中国のコストが変わらないこともしばしばありました。

2.リーマンショック、震災以降

2008年のリーマン以降、事業売り上げが3~4割落ち、なかなか回復できない状況が続きます。
このころから企業ニーズがより新規事業開発、東アジア・新興国への新事業・拡販展開に
移行しました。日本の経営資源が、ハードからソフト・ソリューションにシフトし、より
ソフトを意識した経営モデル(ビジネスモデル)の議論も盛んになりました。
マネジメント技術としては、0→1立ち上げるためのねた探し(マーケットニーズ、技術
シーズアプローチ)、素材・化学系を中心した用途展開アプローチ、ビジネスモデルを描く
技術(バリューチェーンネットワーク)での戦略的な拡販と差別化構築技術を中心に議論
しました。また新興国アプローチで、研修ケースを東アジア、インドでのモデル展開議論に
移行しました。このころから従来の開発人材に加えて、新規事業開発室、事業企画、営業・
マーケティング室と多様な人材が参加するようになってきています。実際にインド駐在の方も
ときおり加わり、インド自動車企画では、大家族での移動用とか映画が外で鑑賞できる車とか、
机上とのギャップに驚きも多く、現地・現物がいかに重要かをあらためて痛感させられました。

3.価値創造とこれからの人材像

もともと選抜型の研修ですが、一昨年あたりから、より優秀な人材が参加するようになって
きています。ベルギーの企業に勤めていたドクターが日本企業にヘッドハンテイングされ、
その方に新規事業の白羽の矢が当てられ、強いミッションのもとで参加した方。アメリカで
数年駐在し日本に戻り、日本欧米を比較した新規事業のミッションを背負った方。営業出身
ですが、営業目線で開発を変えるミッションで参加された方等々。リソースの流動性とより
スピードを意識した改革が求められていることをひしひしと感じます。売りにつなげる新事業
をスピード感で実践する強い志の方がより必要とされています。JMACR&Dはこれからも事業と
人材育成にこころから応援させていたく所存です。

(シニア・コンサルタント 細矢泰弘)