2016年7月 193号 「商品企画におけるアイデア創出は、外部との共創を強化せよ」

2016年7月

各地で梅雨明け宣言が聞かれるこの頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
いよいよ夏本番となりますので、熱中症には十分ご注意ください。
皆様のご健康をお祈り申し上げます。

商品企画におけるアイデア創出は、外部との共創を強化せよ

商品企画において、新たなアイデアを出すことは出来るものの、
筋の良いアイデアを出すことは難しい。
一体どのようなアイデア創出法が有効であると感じ採用されているのだろうか。

昨年、弊社で実施した『第8回新たな価値創りに関するアンケート調査』において、
商品企画におけるアイデア創出法の採用と有効性に関する調査を行った。

以下の22種類のアイデア創出法に対して、何を採用しているか、
どの程度有効であると感じているかを質問し、123社から回答を頂いた。

1.顧客に対する取組みとして、
『顧客インタビュー』『グループインタビュー』『顧客を組織化しコンセプト作り』
『顧客とのブレスト』『顧客と一緒に設計』『顧客の製品使用状況を観察』
『先進・先端的な顧客との密着』『インターネットの活用』

2.外部情報収集として、
『環境変化の把握・将来トレンドの調査』『外部技術の活用』『特許情報の活用』

3.社内情報収集として、
『社内のアイデア公募』『研究開発部門との連携』『既存技術の新たな組合せを検討』
『サービス部門に寄せられる顧客の声分析』

4.オープンイノベーションとして、
『社外を対象としたアイデアコンテスト』『社外に対して課題を提起し解決策を募集』
『異業種連携の場作り』『外部の専門家との連携』『パートナー・サプライヤーの活用』
『スタートアップ企業の活用』『外部に製品設計依頼』


◆アイデア創出法の有効性

調査の結果、有効性が高かったのが、

1位『顧客と一緒に設計』 有効度4.14点/5点満点
・・・採用率は40%と低いものの、直接顧客や最終顧客が新製品の設計に参加し、
   その過程で製品の改善に対するアイデアをもらえれば、それは有益な情報である。

2位『顧客インタビュー』 有効度4.12点
・・・採用率が83%と非常に高く、顧客に直接訪問しインタビューを行い要望や意見を
   もらう行為は、当たり前の行為になっているのかもしれない。

3位『先進・先端的な顧客との密着』 有効度4.08点
・・・採用率は33%と低い。市場のトレンドの先を行き、先進的なニーズを持つ
   革新的な企業や個人を探し出すことは有益であるが難しい。

4位『顧客の製品使用状況を観察』 有効度3.89点
・・・採用率は46%である。長期間に渡る顧客の観察、製品使用状況の調査などを通じて、
   顧客についての深い知見を得るのだが、最近ビジネスエスノグラフィーと呼ばれ、
   認知度が高くなってきている。

5位『研究開発部門との連携』 有効度3.72点
・・・採用率は67%と高い。社内の研究所など研究開発部門と連携して新たなアイデアを
   創出する行為は有益であるし、取組みやすい。

6位『外部技術の活用』 有効度3.71点
・・・採用率は40%と低い。破壊的技術の活用とも呼ばれ、萌芽期にある技術が
   破壊的技術になるかどうかを予測し、自社の業界・市場・製品にどのような
   インパクトがあるか考えるのだが、外部の技術を把握する事は難易度が高い。

全体的に顧客に対する取組みに対する評価が比較的高く、
オープンイノベーションに対する評価が比較的低い傾向がある。

実際に商品を使っている顧客の悩みや期待を商品企画において参考にすることは、
マーケティングの重要性が認識されてから、誰もが行う事であろう。

一方で、顧客は既に満足しており市場は成熟している為、
顧客だけを見ていても新たなアイデアは出てこない、もっと外部の知恵を活用せよと
近年重要性が主張されているオープンイノベーションは何故有効であると
評価されていないのだろうか。


◆アイデア創出法の採用度

採用度から調査結果を見てみると、

1位『顧客インタビュー』 採用率83%
・・・有効度も5点満点中平均4.12点と高い。有益であると感じやすく、
   比較的取組みやすい活動である。

2位『環境変化の把握・将来トレンドの調査』 採用率75%
・・・有効度は3.53点と平均的であるが、環境変化や将来トレンドを起点とした
   アイデア発想も言わば当たり前な行為であろう。

3位『研究開発部門との連携』 採用率67%
・・・有効度は3.72点と比較的高い。67%という採用率は、高いと見るより
   低いと見たほうが良いかもしれない。33%が連携していないことが驚きである。

4位『外部の専門家との連携』 採用率64%
・・・有効度は3.68点と比較的高い。いわゆる自前主義から脱皮しつつあるようだ。

5位『特許情報の活用』 採用率60%
・・・有効度は3.45点とあまり高くないものの、採用している企業は多い。
   特許マイニングからアイデアを考える時代は終えたのだが、
   惰性で続けていると解釈して良いのだろうか。

全体的に見て、外部情報収集や社内情報収集に対する採用率が比較的高く、
オープンイノベーションに対する採用率が比較的低い。

社内外の情報を集める活動は比較的取組みやすく、
顧客に対する取組みやオープンイノベーションなど相手がある活動は取組みにくいのは
当然の結果であるかもしれない。


◆今後のアイデア創出法採用に向けて

既に取り組んでいるアイデア創出法において、有益ではないと感じつつも惰性で
行っている取り組みがあるのなら要注意、見直しが必要である。

まだ取り組んでいないアイデア創出法があれば、ぜひ取り組むことを検討して欲しい。

社内情報収集は比較的容易にできるはずなのに、
『サービス部門に寄せられる顧客の声分析』に取り組めている企業はそう多くない。
アイデアの宝庫とも呼ばれる顧客からの苦情や要望などの生の声を活用しないのは
もったいない話である。

顧客に対する取組みは有効性が高いものが多いが、
『顧客と一緒に設計』『顧客の製品使用状況を観察』『先進・先端的な顧客との密着』まで
取り組めている企業は少ない。一度、顧客とどこまで企画を一緒に行えるのか相談したり、
先進的なのは誰なのか直接顧客に聞いてみたりしても良いかも知れない。

オープンイノベーションは、難易度が高いかもしれないが、
『外部の専門家との連携』、『パートナー・サプライヤーの活用』については、
比較的有益性・採用率ともに高い結果が出ている。
連携できる企業や団体がないか、改めて身の回りを見つめ直したい。

まだまだ社外の知を活用できる余地があるはずである。
商品企画におけるアイデア創出は、外部との共創を強化せよ。


(チーフ・コンサルタント 野田 真吾)