2016年2月 188号 「自分が変わる、現場が変わる」

2016年2月

皆様いかがお過ごしでしょうか?
つい先日、「明けましておめでとうございます」と言っていたのに、もう2月。
期末に向かって忙しい日々をお過ごしのことと思います。
こんなときこそじっくりと考え、一日一日を大切にしたいと思います。


自分が変わる、現場が変わる

今月は「自分が変わる、現場が変わる」と題して書いてみようと思いました。

先日、ある企業の研究所長と話す機会がありました。
研究所経営について熱く語っていらしたのが印象的でしたので、ご紹介いたします。

『C研究所は、応用開発を使命とする研究所で総勢70名位。
70名というと、そう大きな研究所でなく、もともと自分は研究所創設時のメンバーで
研究所のことはよくわかっていたつもりでした。
C研究所に8年ほどいた後、基礎研究を担当する研究所、本社事業部での事業企画を
経験しながら、外からC研究所のありたい姿を考えていました。
何しろ自分たちが立ち上げた研究所であり愛着がありましたからC研究所長就任の
内示を受けた時はうれしかったですね。

実際行って見るとびっくりすることが多かった。
まず将来につながるような研究テーマがない。
工場のコスト低減の研究テーマばかり。これはいけないということで、所長直轄の
企画チームを立ち上げ新テーマの探索を開始したり、以前にいた研究所の技術と
C研究所の工業化技術を融合した共同研究テーマを立ち上げたりしました。
研究テーマは何とか順調に立ち上がっていき、研究所らしい姿に戻ってきました。

ところが、もうひとつの問題が頭を悩ませました。
コンプライアンス上の問題が頻発するのです。
問題発生の兆候がつかめないのです。
仕事は順調に立ち上がっているものの、風土的には研究所一丸となるという感じは
なかったような気がしました。
問題が起こる度にミーティングを行い、対応策をたて、これさえ守れば問題は
起きない筈でしたが別の問題がまた発生する。
これには本当に参りました。

どうしよう、どうしようと一人悩んでいた時、ふと思ったのです。
「考えてみると自分はルールや仕組みだけで、研究所、風土、研究所メンバー姿勢等
を変えようと思っているだけでないのか?
メンバーの本当の思いを考えたことがあっただろうか?」

この気づきは大きかったですね。
ルールや仕組みだけでリードしていたつもりになっていたのですね。
で、何をやったのか?結局、やったことは単純なことでした。
研究所では全員で朝会をやるのですが、その時一人ひとりの顔をじっくりと見ること。
これが第一歩でした。
それを続けていくと、メンバーの顔にいろんなことが書かれているような気がしてきました。
その気づきを課長と共有化して、必要なときにはメンバーと話をしてもらいました。
このためかはわかりませんが、これ以降問題は起こらなくなってきました。
学んだことは「変えよう、変えよう」でなく「まず自分がどんな小さなことでもいいから変わる」
ということでしたね。部下は上司の変化を必ず見ています。

さらに技術KIを導入し、チーム内はもとより、関連部署のエンジニアとの協働等をさらに
強化して、いくつかのテーマが工業化されました。
コミュニケーションもよくなって、現場も明るい雰囲気に変わってきたと実感しました。

その後、C研究所は別の研究所と一緒になり、その役目を終えましたが、ここで育った
マネージャーやメンバーは新しい研究所でも主要な役割を演じてくれています』

所長の言葉から、リードする人は戦略・戦術構築と実行は当然の職務として、リーダー
自らが変わることによって現場が活性化していくことの大切さを学ぶことができました。
マネジメントにかかわる方への改革のヒントとして、ご紹介しました。


(経営コンサルタント 山本 文忠)