2015年10月 184号 「技術部門におけるPMIを考える ~技術および技術者、組織間シナジーの創出を目指して~」

2015年10月

徐々にお肌寒さが増している今日この頃、皆様、
体調などくずされていないでしょうか。

直近のTPP合意を受けて、
日本の産業界も一次産業まで含めたグローバル視点での
より一層の改革実行がもとめられてくるものと思われます。
中長期視野にたった事業改革構想とR&D改革構想の両方をしっかりと練って
変化の波をうまく乗りこえていきたいものです。

技術部門におけるPMIを考える
~技術および技術者、組織間シナジーの創出を目指して~

「PMI(Post Merger Integration)」は企業の合併後の経営等の統合を意味しますが、
日本でもM&Aが盛んに行われるようになったこともあり、注目されるようになった経営課題です。

弊社とおつきあいがある企業の中にも、M&A等の企業統合・経営統合を経験された
企業が多くいらっしゃいます。
そういった企業の現場ご担当者に対して「統合されて何か変わりましたか?」
という問いを投げかけると、経営レベルの変化はあっても、
・技術現場レベルの(意識を含めた)変革につなげられていない
・技術の統合、技術の相乗効果の発揮、成果の獲得に至っていない
という回答を多く耳にします。

この話題を技術部門目線で捉えるならば、、
・異なる技術領域間のシナジーが発揮されていない
・異なる専門領域を持つ技術者同士の交流が進まない
といった内容になろうかと思います。
これらは、M&Aの実施有無に関わらず、多くの企業で目にする話題でもあります。

今回は、M&Aをきっかけに
「2つの異なる技術文化を融合しよう」というスローガンの下、
あとは技術者が心を合わせて頑張るだけ、という状況から脱するために、
技術部門におけるPMIとして、どういった点に着目すると良いのか、
要点を紹介します。

※本話題は、9月に実施した同名のノウハウ交流会より
抜粋して紹介をしております。
ご興味がある方は、弊社までお問い合わせください。


コングロマリット型を除く、2つ(水平、垂直)のタイプごとに、
要点を整理してみましょう。

◆水平統合型M&Aの場合
経営の期待として、シェアの拡大などを目的におこなわれるM&Aで、
同一製品で、異なるカテゴリーの製品群を持った企業同士の合併です。

経営の期待は、
 ・市場の拡大
 ・競争優位の獲得
 ・相互資源活用による効率化
などが考えられます。

技術面でみられる特徴としては、
 ・比較的類似する技術が重複する
という点があげられます。

経営の期待と先の特徴を踏まえ、技術系のPMIで考えたいことは、
 ・技術の効率的な相互利用、統廃合
 ・競争優位の獲得に向けた、技術の共進化
という2点です。

◆垂直統合型M&Aの場合
経営の期待として、マージンの向上などを目的におこなわれるM&Aで、
素材メーカーと完成メーカーの合併です。

経営の期待は、
 ・連結に伴うマージンの向上
 ・顧客への提供価値の向上
 ・原材料、顧客の囲い込み
などが考えられます。

技術面でみられる特徴としては、
 ・原材料とアプリケーションなど相互補完的な関係がある
という点があげられます。

経営の期待と、先の特徴を踏まえ、技術部門のPMIで考えたいことは、
 ・相互技術間の連結
 ・リソース増加に対応した付加価値の向上、新たな収益源の獲得
という2点です。

ここで、「相互技術間の連結」について取り上げますと、
垂直統合型M&Aの場合は、上流側と下流側の能力不均衡や発展の制約を
生じさせないために、川上への投資や、市場の声の取り込み等、
継続的な技術開発が必要となりますが、
この際、統合後の技術ポートフォリオをどう描くか、という部分がポイントとなります。
ありたいポートフォリオを現状最適でなく、将来最適で設計する、ことが重要です。


(チーフ・コンサルタント 山中 淳一)