2014年8月 172号 「大企業・中堅企業で新規事業をいかに生み出すか」

2014年8月

皆様こんにちは。
暑い日々が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

夏の風物詩といえば花火大会、セミ、アサガオ、すいか割り・・・等色々とありますが、
先日花火に纏わり、心に残った言葉があります。

創造花火(キャラクターや文字等の自由な形の花火)の生みの親である佐藤勲氏の
言葉です。
1987年、冷戦時代の西ベルリンで、花火打ち上げ前日の記者会見の場で佐藤氏は
次のように述べられたそうです。
「ベルリンの地上には壁がありますが、空には壁がありません。日本の花火はどこ
から見ても同じように見えます。西のお方も、東のお方も楽しんでください。」

同じ組織やチームであってもお互いに壁を作り、冷戦状態のような組織を見かける
ことがあります。
このような組織は組織図や役割分担に注意が行きがちで、お互いの思想や考えを
受け入れようといった歩みよりの姿勢がとても弱いということが往々にしてあります。
このように壁のある組織においては、お互いがワクワクするような目標を描く(誰もが
楽しめる花火を打ち上げる)だけではなく、まず自分の足らないところを認め、相手の
良いところを認めることが大事になってくると思います。
自分の弱いところを認めるというのはなかなか勇気のいることですが、変革を起こす
ためにも、自分を見つめ直すということから一歩を踏み出してはいかがでしょうか。

(中田 奈津子)

大企業・中堅企業で新規事業をいかに生み出すか

JMACでは、新規事業を支援するコンサルティングを30年以上にわたり企業各社や
公益法人で実践してきました。こうした経験から、企業とくに大企業・中堅企業において
新規事業をいかに生み出すかを考えてみたいと思います。

米国のコンサルタント、 ギフォード・ピンチョー氏がその著書「企業内起業家」
(ギフォード・ピンチョー著 清水紀彦訳、講談社)で、多くの企業には研究開発と事業の
間にイノベーションの空白があると指摘しています。
確かにコンサルティングの現場では、誰が売るのかを考えずに研究開発部門が新規事業の
タネを考えていたり、新規事業プロジェクトで開発部門、営業部門など部門代表のメンバーは
いても誰も事業全体のことを考える人がいなかったりします。

また企業は規模が大きくなればなるほど、組織の機能分担が明確になり効率的な事業運営
がなされます。
この方式は既存事業にとっては有効に働きますが、この仕組みや組織が根付いてしまって
いる企業の新規事業ではかえって弊害になります。
新規事業では未知の要素が大きいために各部門が一丸となって取り組まなければならない
のに、自部門のことだけを考えがちになるからです。
大企業・中堅企業の多くの開発部門、設計部門、営業部門では決められた商品やテーマを
いかに効率よく進めるかといったオペレーション業務が中心であり、オペレーション業務の
ためのマネジメントになっているのです。
こうした部門オペレーション中心の企業で新規事業を取り組むのに、事業開発ができる人材
の育成を主眼に置く企業もありますが、人材を育成してもその企業の組織やマネジメントが
部門オペレーション中心では有効な成果が上がりません。
人の開発とあわせて仕組みの開発が不可欠なのです。

書籍「ストラテジック・イノベーション 戦略的イノベーターに捧げる10の提言」(ビジャイ・ゴビン
ダラジャン, クリス・トリンブル著, 三谷 宏治 監修, 酒井 泰介 訳、翔泳社)は大企業における
戦略的イノベーションを主題にしていますが、戦略的実験事業は独立事業部門にするほうが
良いと説いています。
ただし、新規事業部は既存の事業部門の成功体験を忘れるべきである一方、既存の事業
部門の資産を借用しなければならないとも言っています。
大企業・中堅企業の中では事業開発室、新事業企画室といった名称で、新事業を探索し、
事業化を専任業務とする組織が見受けられますが、このような組織はどのような機能を
発揮すべきでしょうか。

先日、弊社の第18回 開発・技術マネジメント革新大会において「大企業における
イノベーションはどこから生まれるのか」というタイトルで株式会社デンソーの方の講演が
ありました。
お話のなかで、新規事業推進室の役割は、社内の起業家を発掘し必要な社内リソースを
繋ぐ、研究開発部門と事業部門の橋渡しをするとのこと。
また、研究開発、技術企画と事業部門の間には組織的にプロジェクトを設置し、事業化を
進めるということです。
こうした有機的な繋がりや新規事業の促進を進める機能が、イノベーションの空白を埋める
方法論の一つなのではないでしょうか。


(チーフ・コンサルタント 池田 裕一)


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