2014年4月 168号 「設計実態調査から ~業務遂行力の強化に向けて~」

2014年4月

近頃は、温かな日差しとなり、過ごしやすい気候になってきました。
電車の中においても、新入社員らしい方を見かける季節です。

彼らを見ていると、私の入社当時の感覚をふと思い出すことがあります。
皆様は、入社時を振返ってみて、どのような想いを
持ってビジネスに関わりたいと考えていたでしょうか。
何も知らない時期だからこそ、制約なく理想的な
ビジネスの姿を描けていたのではないかと思います。

現業を着実に実行していくことはもちろん大切なことですが、
この機会に、当時の自分を思い出し、将来の事業のあり方ついて、
発想を拡げて想像する時間を設けてもよいかもしれません。

(宇野 暁紀)


設計実態調査から  ~業務遂行力の強化に向けて~

弊社では、第10回「開発・設計・技術部門のマネジメント革新に関する実態調査」を
実施いたしました(2014年2月発行)ので、ここから特徴的な傾向について今回は
述べてみたいと思います。

調査の中で、開発力に関する調査を行っております。
開発力とは、技術部門を中心に新たな価値を創出する能力と定義しており、
企画力・遂行力・組織力・技術力・革新力の5つの要素で構成しています。
各要素毎に4段階の水準を設け、現状実態を把握するという手法を約20年程行って
きております。
この5つの要素の中で、最も低い水準だったのが「業務遂行力」でした。
業種別に比較しても、各業種とも概ね低い傾向でした。
水準の定義で言うと、「当たり前のことも出来ていない」状態を示しています。
私自身のクライアント先でも、ここ数年、「若手・中堅クラスの業務遂行力」に関する
相談を多く受けるようになっていますし、一般公開セミナーでの参加者数でみても
このテーマには多くの技術者が参加しており、問題の大きさを自ら実感しています。

さて、業務遂行力に関する主な問題点として、以下が挙げられています。
 ・開発途中での仕様変更が多い
 ・日程計画の検討が不充分で予定通り進まない
 ・グローバルでプロジェクトを推進するための仕組み整備ができていない
 ・環境変化に応じたプロセス見直しがされていない

これらの問題を解決するための取組みとして、以下が挙げられています。
 ・開発の節目目標を達成するための課題抽出および解決
 ・要素開発と商品開発段階の特性に合わせた課題抽出
 ・技術難易度の評価を行い、難易度にマッチした有識者を集めた課題解決

このことから、仕組みの再構築やプロマネのスキルアップを図ることよりも、
集団での課題発掘力及び解決力を高めることを重視していることがうかがえます。
つまり、業務遂行力強化に向けた本質的な改善ポイントは、課題発掘・解決力に
尽きるということを自覚していると言えます。

それでは、なぜ、課題発掘力や解決力が高まらないのでしょうか?
私は、業務効率や納期優先のマネジメント風土が背景にあると思います。
少々大胆なことを言わせていただくと、失われた20年と過度な効率・納期優先の
マネジメント風土が重なっているように思えます。
効率優先→失敗できない雰囲気・なるべく手をかけないで成果を出す→経験知
が積み上がらない→似た様な失敗を繰り返す→事後フォロー工数が増える
→新製品開発にリソースが投入できない→画期的な新製品が出ない→技術者の
モチベーションが下がる→・・・
このような悪循環を断ち切らない限り、実質的な業務遂行力は高まってこないと
思います。目指したいのは、「賢くて速い」スタイルです。理にかなった設計を
するには、それなりに失敗経験を積み重ね、試行錯誤することも必要です。

高いレベルで課題発掘・解決を図るためには、失敗を許容する風土や開発目標
達成ストーリー(良い筋道)を明確化すること、有識者や専門家の知識を引き出す
ための場や仕掛け等が必要になります。
これは、グローバル開発体制下であっても、当然必要なことでしょう。

くれぐれも、開発設計業務を作業と捉えたり、「仕組みや他部署が悪い」と何事も
他責にするような無責任体質のままで業務改善を進めることは避けたいですね。

(チーフ・コンサルタント 渡部 訓久)


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