KIメールマガジン『COMPASS』NO.119

2012年2月

2012年2月1日/NO.119


個人成長目標を振り返る際の留意点  
- "できている"ことへの着目が本人の目標達成意欲を高める -


KIメールマガジン読者のみなさま

毎日乾燥した寒い日が続いております。
読者のみなさまもインフルエンザや風邪などで体調を崩ずされてはいないでしょうか。

最近、マネジャーの方と若手社員の育成についてお話をしますと、多くの方が「若手社員のモチベーションが持続しない」「やる気を引き出せない」などなど動機付けに苦労をしているという声を多く聞きます。
なぜ若手社員はやる気が起きにくいのでしょうか。
また、なぜ持続しないのでしょうか。

昔、山本五十六は、「やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、褒めてやらねば人は動かじ。」という言葉を残し、人を動かすには誉めることも必要だと説いています。
恐らく「やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて」までは多くのマネジャーが若手社員に対して実践していると思います。
しかし「褒めてやる」はできていますでしょうか。

このことを個人成長目標の振り返り(育成面談)の場で考えてみるとどうなりますでしょうか。

1."できていない"ことだけの振り返りでは個人成長目標に対する取り組み意欲が高まらない

来年度の成長目標を立てる前に今年度の成長目標について振り返りをされると思います。
よくある振り返りの進め方としては、

(1).成長目標の確認する
(2).メンバーによる成長目標の達成状況の評価をする
(3).リーダーによる評価をする
(4).成功要因と今後の問題点について明確化し、今後の課題設定を行う

の4ステップで進められています。

4つのステップを踏んでも来期の目標に対してのメンバーの取り組み意欲が高まらないと感じているマネジャーも少なくはないと思います。
それは(2)、(3)において「できていること」への着目が不十分だからではないでしょうか。
"できていない"ことだけに着目されると人は自分ができなかったことを正当化する傾向にあり、できない理由「難しいし、達成しなくても良かったんだ」などを都合のいいように考えてしまいます。
そのため本質的にうまくいかなかった要因に気づかず次の行動設定に繋がりにくいと考えます。

2."できている"ことへ着目する振り返りの実践のお勧め

来期の個人成長目標設定する前にこれまでの目標の振り返りから教訓を多く得ることが大事です。
この時に"できていない"ことに目が行きがちですが、"できている"ことへの着目も必要です。
なぜならアメリカの心理学者ハーロックによって行われた学習成果と賞賛・叱責の関係に関する実験から、「あの人の喜ぶ顔が見たい」「あの人に褒められたい」「あの人に褒められて嬉しい」という感情が強力なモチベーションの要因となることが分かっています。
これを賞賛効果と呼びます。

マネジャーに褒められれば、メンバーも「もっとやろう!!」という気になるのではないでしょうか。
その結果として、もっと成長するために本人から「もっとこうしたい」という提案が出てくるはずです。

3."できていることに"に着目した振り返りの具体的な進め方について

それでは前述の2で、"できている"ことに着目するにはどのようにしたら良いでしょうか。
本メールマガジンでは具体的な進め方をご紹介致します。
次の7点の関わり方を意識してマネジャーはメンバーと一緒に"できている"ことへ着目する 振り返りをしてみてはいかがでしょうか。

(1).個人成長目標の達成状況を事実に基づいて確認する
(2).メンバーの個人成長目標に対して、"できている"行動に目を向けさせる
(3).メンバー本人が気づかないメンバーの仕事上の変化(品質、スピード、周囲との関係)をフィードバックする
(4)."できている"ことがなぜできたのかポイントを考える
(5).同様に"できていない"ことを具体化する。更にできなかった原因を掘り下げる
(6).(4)と(5)を踏まえ、次の行動をメンバー自身に設定させる。抽象的ではなく具体的ですぐにでも実行できる
  ような行動設定を行う
(7).マネジャーとメンバーが共有し、周囲のサポートが必要かどうかを確認する

以上のポイントを意識すると下記の様な対話が交わされそうです。

マネジャー:「品質向上の中で取り組んだことはある?」
メンバー: 「レビューの度にレビュー観点を整理して、品質向上に努めました。」
マネジャー:「レビューへの意識は高かったと思うよ。なぜ意識できたと思う?」
メンバー: 「レビューの強化をすると後工程での不具合発生が減少してきたことが実感できたので、やりなが
       らもっと良い方法はないか考えながらできたのが良かったと思います。」
マネジャー:「なるほどね。私から見えた変化で言うと不具合も減ったのと、他のチームからの品質面に対す
       る信頼も高まったように見えるよ。」
メンバー: 「ありがとうございます。私は気づかなかったですが、そう言われると嬉しいです。」
                      :
マネジャー:「工数管理については直感値で何%くらい達成できたと思う?」
メンバー: 「70%くらいです。」
マネジャー:「忙しいのによく頑張ったね。できていることを更に具体的に言うとどうなる?」
メンバー: 「自分の計画業務を3週間くらい見通しができるようになりました。」
マネジャー:「突発業務が入ってきても自分で調整ができるようになってるよ。あと計画精度にも変化が出てき
       たね。残りの30%は何が足りないのかな?」
メンバー: 「他のメンバーの工数管理です。今後はもっとリーダー業ができるようになりたいです。そのために
       も他のメンバーと一緒に課題バラシをする時間を作り、アドバイスをしたいと思います。」

"できている"ことに着目することによってメンバーが前向きに課題を設定している様子が伺われます。
また上記のような関わりを活用するとマネジャーとメンバーがしっかり対話し、課題設定ができるようにもなります。
皆さまも"できていること"に着目した振り返りを実践してみませんか?

以上

(文責 中村 明大)

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