KIメールマガジン『COMPASS』NO.109

2011年3月

2011年3月1日/NO.109


意思決定の促進



KIメールマガジン読者のみなさま

ここ数日暖かいポカポカ陽気が続き、少しずつ春が近づいてきていますね。
皆さんがいかがお過ごしでしょうか。
また、この時期は、年度内の目標達成に向けて追い込みの時期であるとともに、 次年度の準備にも取り掛かり、何かとお忙しいことと思います。

ご支援させて頂いている研究開発現場でも、年度末の研究開発目標に向かって、 奮闘しております。今回は、この現場で起きた出来事を踏まえ、KI活動を通じた 意思決定の促進について、ご紹介させて頂きたいと思います。

ご存知のように、意思決定とは、ある目標を達成するため、複数の選択肢から 最善の解を求めようとする行為です。組織は常に変化が起こる生き物であり、 その変化に応じた行動を取らなければなりません。
組織のマネジメントは、判断と選択の連続であり、意思決定そのものとも言えます。
しかし、意思決定の前提となる判断基準や事実情報は相互に複雑に絡み合って いる場合が多く、現場では、しばしばその難しさと煩わしさに悩まされます。

今回紹介する研究所では、事業化のスピードアップを図るため、基礎研究と 事業化をオーバーラップさせながら、技術の完成度を高めるという方法を選択試しました。
しかし懸念されたように、商品開発に移行して間もなく、テーマは大きな技術課題に 直面しました。
その時、チームはKI活動を実践すべく、技術課題を細分化し、各課題に対し打ち手の 作戦ストーリーを描き、また実験状況と結果などをその都度見えるようにしました。 更に、技術検討の場にマネジャーに入ってもらい、課題や実験結果などの情報が タイムリーにマネジャーに流れるようにしました。

マネジャーのきめ細かい判断が入る中で、チームは社内の知恵を集めたり、社外 技術の導入を検討しましたが、なかなか解決の見通しは立ちませんでした。
何とかして解決に導きたいという想いはありながらも、要素技術の完成度に問題 があるのではないかという疑念がメンバーの中にありました。
テーマのGO/STOPについて、しかるべき人の判断が必要となる状況にありました。
これまでの技術課題ばらしやデータの結果を判断材料にし、部長は基礎研究に戻す と最後の決断を下しました。
しかしながら、事業の観点から見ますと、開発終盤の時間の使い方がこれで本当に いいのかとメンバーには戸惑いがありました。
部長のチームへの期待はKI を使った研究開発の進め方をしっかり最後まで学んで ほしいということであり、目先の効率より、先々を見越した育成重視で判断したわけです。

部長は、チームメンバーの焦りを感じ、KI相談会に参加し、メンバーと話し合い、意思 疎通を行いました。部長は、QCD目標の達成を優先するのでなく、しっかりと要素 技術を固めるべきと判断したのですが、メンバーはQCD目標を達成することばかりを 考えていたのです。あたかも立場が逆になったようなお互いの判断になっていました。 部長はメンバーの立場に立ち、良かれと思って判断しましたが、そのことがメンバー には伝わっていませんでした。
KI相談会でのワイガヤミーティングの結果、みんなが方向に合意し、納得した結論が 導かれ、チームはそれまで以上に前向きに行動するように変わりました。

この事例は、意思決定までのプロセスにおいて2つのポイントがあります。
一つは、チームは、課題をばらし、その都度の事実状況を見えるようにし、マネジャーが それを認識できる状態を作ることです。
見える化とマネジャーのきめ細かい判断の積み重ねは、最後の大きな意思決定の際 の判断材料となり、上位層の決断を促進させます。

もう一つは、合意と納得をした上での意思決定を成立させ、現場のアクションを加速 することです。マネジャーだけが決めるのではなく、マネジャーとメンバーとの間で コミュニケーションを介し、判断基準への共通認識の促進が大事です。
よかれと思って判断したことも、コミュニケーションが足りないと、誤解となって伝わります。

グローバル化が進み、多種多様な顧客ニーズに直面する今日、ビジネスのスピードが 一層求められています。是非、タイムリーな意思決定を促進させ、現場での組織行動を 迅速に行い、日々変化するビジネス環境を見通しながら、進化していきましょう。

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・参考図書:
 「場のマネジメント実践技術」 伊丹敬之・日本能率協会コンサルティング著  東洋経済新報社

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以上

(文責 汪 小芹 おう・しょうきん)

KI活動とは、KI手法を使った全ての取り組みである。
KIとはKnowledge Intensive Staff Innovationの略語であり、知的生産性向上と組織の活性化を同時に実現するコンサルティングプログラムである。
K I卒業式とは、KI活動の成果の集大成の大会であり、KIの思想を理解し、KIの手法を身に付けられている状態を確認する場である

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