物流品質管理
物流品質を適切に管理していくのが物流品質管理である。ここでの「管理」とは「ミスやクレームなど物流上の不具合を、定められた水準以下に抑えること」である。
理想を言えば、企業活動においてミスやクレームは1件も発生せず、品質は100%の水準で守られることが望ましい姿である。しかし、ミスやクレームというのは決してゼロにならないのが現実であり、どんなに人が注意して作業をしても、あるいは設備や情報システムを注意深く設計し運用しても、不測の事態というのは必ず起こるものである。ミスや不具合をゼロにするためには、理屈の上では無限大の投資が必要となり、経済的に引き合わない。このため、実際には物流品質目標やガイドラインを定めることが必要になる。
たとえば、
「作業におけるミス率は、納品件数に対し0.01%以内」
「(年間発生ベースで)ミスの件数は10件以内」
といった内容である。
これらの目標やガイドラインに基づき、必要とされる物流管理の水準や体制、かけられるコストなどを決め、品質が維持されるように活動・運用を行っていくことが物流品質管理に当たる。
物流品質とは、「自社のサービス水準の高さを示す」バロメーターの一つであり、多くの企業にとって、物流品質の維持や向上は重要な課題であると言える。具体的に、物流における品質とは、主に物流上の品質(Q=品質)および物流納期品質(D=納期)を指し、大きくは以下の7項目から成ると考えてよい。
- 納期品質(指定日・指定時間を遵守し、緊急品の納期遅れなどを起こさないこと)
- 商品品質維持品質(鮮度オーバー、変形・変質の有無、汚れや破損、サビ・ホコリ・腐敗などを起こさないこと)
- 正確性品質(品物違い、量違い、配送先間違いなどを起こさないこと)
- 事故防止品質(安全管理にも関係するが、人身等に関わる事故を起こさないこと)
- 環境貢献品質(二酸化炭素の削減や、ゴミを出さないことなど環境影響に関わる品質を維持すること)
- 印象品質(ドライバー配送マナーなど顧客に対する良い印象を保つこと)
- それ以外の品質(問い合わせ即答、完了報告、納期回答、実在庫報告、必要な管理資料報告など)
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