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第8回 意図的な組織変革を実践する“チェンジ・マネジメント(変革実践への意識改革)”

2019年2月19日

 「組織風土を改革したい」という相談を、経営に携わる方々から頻繁に受けます。「組織風土とは何か」「何から組織風土がつくられていくのか」、私個人としてもとても興味深いテーマです。組織風土に関連した言葉で、組織文化という言葉があります。風土と文化、これらの違いも気になるところです。組織風土と組織文化に関してさまざまな定義があるなか、一つの考え方として以下のように定義をしてみようと思います。

組織風土と組織文化

 組織風土とは、「企業(組織)の構成員が認知している企業(組織)の全体的な性格」のことを指します。例として、トップダウン型、階層重視、手続き主義、全方位戦略、模倣戦略、技術志向などがあげられます。
一方、組織文化とは、「その企業(組織)が社会に貢献し、利益を得るために培ってきた価値観・規範・行動様式、知恵・工夫」を指します。例として、地域意識、受け身、保守的、事なかれ主義、おとなしい、おだやか、マジメさなどです。
   
 組織風土改革を現場で支援するコンサルタントとして、組織風土をよりよい状態にするためには、まず"よい組織文化"をつくることに注力することが重要であると強く感じています。企業が社会に貢献するためには、どのような価値観、規範、行動様式、知恵・工夫をつくりだしていくか、目指したい組織風土の改革実現に向けて思案し、行動することが必要です。

"なかなか変われない"という組織に必要な"意図的な変革"

 「よい組織文化をつくる」と言葉で表現するのは容易であるが、実現することは容易ではありません。なぜなら、見方・考え方・やり方・決め方といった、これまで組織に根づいた従来の方法(つまり、これまでの組織文化)を変えるというのは、今までの組織・チーム・個人を少なからず否定することになり、そのことを「受け入れがたい」と感じる人も少なくないからです。
 この「受け入れがたさ」は「変化することへの抵抗」と言い換えることができます。変化することへの抵抗とは、「変わりたくない」ということではなく、「変わる/変えることで失われることへの恐れ、いわゆる喪失感からくる抵抗」であると感じます。組織内の多くの人が抱える「変わることへの抵抗」に対して、組織としてどのように関わるか、これはよい組織文化をつくるために避けては通れない考慮すべき問題です。

 上記のとおり、変わること・変えることを、「変革」と表現すると、よりよい組織文化をつくるためには"意図的な変革"の推進が必要です。組織が理想とする自社の組織風土を醸成するためには、こういった組織文化の"意図的な変革"は、常に意識し、実践する必要があると考えます。

チェンジ・マネジメント(変革促進管理)の実践モデル

 ここで今一度問いかけたいのは、「変革の意図が組織内できちんと共有され、理解されているかどうか」という点です。
 組織を変革するのは手段であり、目的として得たいのはよい組織文化です。その組織文化からよりよい組織風土を醸成すること、これが曖昧になっているシチュエーションを現場でよく見受けます。
こうしたとき有効となるのが、意図的な変革を実践するための考え方、手法である"チェンジ・マネジメント"です。数多く組織変革を支援するなかで培われたチェンジ・マネジメントは、「変革意識を高め、醸成していく変革促進管理手法」と定義されています。
 すなわち、チェンジ・マネジメントとは業務や組織に関する変革を進める際に、

  • メンバーの抵抗の背景を直視し、
  • 心理的安全性をつくり、関係者の根底にある想い※を意図的に引き出し、
  • 変革に向けた手法(やり方)と変革実現への意識(あり方)の両面から考慮して

変革を実現するための変革促進マネジメント手法のことです。

※根底にある想い:前向き/後ろ向き/中立含めた率直な想い。本音。


チェンジ・マネジメントは、1990年代の米国でBPR(Business Process Re-engineering:業務プロセス改革)を成功に導くためのツールとして開発、実践され、成果へ寄与してきた手法・考え方を源流としています。
この考え方を日々のコンサルティングを実践していく中で、"OBTAiN"モデルとして体系化しました(下図)。これはチェンジ・マネジメントを実践するためのモデルであり、エンパワーメントの理論も活用しています。

"OBTAiN"モデル 〜チェンジ・マネジメント(意識改革)実践モデル〜

 "OBTAiN"モデルの詳細については、チェンジ・マネジメントや変革意識を高めるための考え方、手法など、変革についてみなさんといっしょに考える機会に紹介したいと思います。変化を待つのではなく、変化を起こしていくための組織変革が求められる今、皆さんの変革実践、まさにチェンジ・マネジメントの実践の一助になればと想っております。

コンサルタントプロフィール

笠井 洋

笠井 洋

ラーニングコンサルティング事業本部エンパワーソリューションセンター センター長  シニア・コンサルタント

1998年 JMAC入社。組織・人・チームを力づける、しなやかさを高める組織開発コンサルティングを主領域として活動。「組織全体を対象とした組織マネジメント改革」を主要テーマとして、チームを対象としたチーム力を向上するチームエンパワーの実現、個人を対象とした人間力を高めるセルフエンパワーの実現、個人を対象とした人間力を高めるセルフエンパワーの実現に向けた活動を支援している。
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