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第4回 組織・人・チームの「しなやかさ」を築く「貢献感」を意識する

2015年9月17日

"感謝されたい、認知・称賛されたい" に素直になればいい

 「課長を経験してみたいか?」という問いに対して、課長未経験者660人のうち59.2%が「経験してみたい」と答えている調査結果を目にした。コンサルティングの現場で耳にする「自分は出世には興味はない」「課長は責任と負担が増えるだけで魅力を感じない」などという発言との違いに興味が湧いた。(※参考までに調査結果では「できれば(課長を)経験したくない」は17.3%、「どちらでもない」23.5%)。

 実際には、「課長になりたい」といったような、より上の役職を目指し、成長していきたいと表明しつつも、できなかったときの周りからの評価を気にしたり、いわばリスクを先読みして、"不正解のときの怖さ"(間違えるのが怖い)を強く意識しすぎているようにも感じる。

 私(筆者)の感覚だと自分が傷つかないようにするための賢さを持った人が増えたと感じている。そういった賢さを多く持っていない私からすると、その賢さをもっと世の中のため、組織のため、チームのために使ったらいいのに......と思ってしまう改革・改善の場面に遭遇する。

 貢献(contribution)とは、「ある物事や社会のために役立つように尽力すること」と辞書に書かれている。なぜ役に立つことをするのか、それは自分が存在する価値があることを確かめたいからではないだろうか。存在する価値があることを確認できるのは、他者から感謝されること、認知・称賛されることである。

 最近では認知・称賛を大事する組織風土づくりを積極的に進めていこうとする企業、団体が増えているように思う。コラムを読んでいいただいているみなさんの職場、家庭などコミュニティー(集うの場)では感謝する(される)、認知・称賛する(される)ことが日常になっているだろうか。

 私もコンサルティングを通じて認知・称賛を大事にする組織風土づくりに貢献したいと思い、さまざま人に接しているなかで、「認知・称賛はする側だけが意識すればよいのか?」という問いが湧いてきている。

 いくら他者からの認知・称賛があったとしても、受け取る側の準備ができていないと認知・称賛ではなく、「何か裏があるのでは?」という裏読みや疑心が生まれ、より不安を抱くようになるのではないか。

 私が考える認知・称賛を受け取る準備とは、貢献対象とどんなことに貢献したいかという貢献テーマに自覚的になることだと考える。貢献対象、貢献テーマに自覚的になることで認知・称賛、加えて提案・アドバイスなども自覚的になれると考える。自覚しないことには、気づきは多くならない。

 ここで次のことを実践してもらいたい。

「自身の足の裏の感覚に意識を向ける」

 普段はあまり自覚的しない足の裏の感覚を、今まで以上に感じた方が多いのではないだろうか。自覚的になると得ることが確実に増える。これは私自身の体感、実感からも言える。

 早速、認知・称賛を受け取る準備のために貢献対象、貢献テーマをご自身でも考えてみることをお勧めする。

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「貢献感」は行動を生み出す源

 誰に、何に対して貢献したいのかを考えることは、自分の生き方を考えることに通じるのではない

 「貢献感」に自覚的になることで、貢献するために何ができるのかを考えることが促進される。言い方を変えれば、自分自身、チーム、組織の"行動の意図"が明確になるということである。

 行動しなさい、まずはやってみなさいという心強いアドバイスは、新たなこと、困難なことに一歩踏み出させるときに有用な場合もある。他の視点として、行動を生み出す源を見つめるために「貢献感」に意識を向けてみてはどうだろうか。

 「何かの役に立ちたい」―こんなことを言語で表現するのは恥ずかしい、志が低いと思われるのではないか、理想論だと言われ未熟さを指摘されるのではないか、などとためらってしまう人が多いと思う。確かに組織の中にいれば成果を意識して、失敗したくない、できそうもないことは言わないと守る姿勢を大事することも理解できる。また、貢献なんて自分の役割ではない、権限がないとできないと環境要因から自分の限界をつくって、"あきらめ思考"が先行することもあると思う。しかし、無難な成果重視、あきらめ思考の支配から逃れないと、新たな価値を生む行動は生まれてこない。

 騙されたと思って「自分は何に、どんな貢献したいのか」を考え、貢献感に自覚的になる第一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。

 私の経験から、貢献対象と貢献テーマを周囲の人たちに話してみると、否定的な人は少なく、むしろ前向きなアドバイスや挑戦の機会を得られることが多い。逆に周囲の人の貢献対象と貢献テーマを聴いてみると、その人の大事にしていること、今までの人生の背景、目指したいことを知ることができ、より身近な存在に感じたという経験も多い。



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 みなさんの「貢献感」を可視化した貢献対象と貢献テーマを、ぜひ教えてください!
 みなさんの周囲の方々のエンパワー状態(力づけ)実現に少しでも役に立てれば幸いです。

コンサルタントプロフィール

笠井 洋

笠井 洋

ラーニングコンサルティング事業本部 組織開発リューションセンター センター長  シニア・コンサルタント

1998年 JMAC入社。組織・人・チームを力づける、しなやかさを高める組織開発コンサルティングを主領域として活動。「組織全体を対象とした組織マネジメント改革」を主要テーマとして、チームを対象としたチーム力を向上するチームエンパワーの実現、個人を対象とした人間力を高めるセルフエンパワーの実現、個人を対象とした人間力を高めるセルフエンパワーの実現に向けた活動を支援している。
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