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【最終回】その後のA社の物語 ~中堅・中小企業の改革物語~

2018年9月18日

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2年前の中小製造業A社の改革物語

2年前に中小製造業A社の改革物語をお伝えしました。
A社は創業時、地元で細々と製造販売を行っていました。
2代目経営者となり、職人の技をうまく活かしながら、大手メーカーの部品生産を行うことで順調に売り上げを伸ばしてきました。

バブル崩壊、リーマンショックと景気後退に伴い、大手メーカーからの注文の減少に加え、納入価格ダウン要請もあり、会社は売上・利益低下の一途をたどりました。コストダウン活動を一生懸命行い、顧客要請に応えるも、売り上げの減少はそれ以上に激しく、固定費をカバーすることが難しい状況に陥りました。

経営環境が悪化する中、A社は当時次のような改革活動を行いました。

  1. 高付加価値品、自社ブランド品を目標とした新製品開発
  2. 新商品・新事業拡大に結び付く営業力の強化
  3. 品質向上と原価低減につながる製造現場の改善・改革活動の推進
  4. 受注型ビジネスへの取り組み

改革活動は「今の仕事を見直し、現場の生産性を向上し、人や設備を増やさないで新しい仕事を取り込む効率化活動」と「新しい顧客と新しい製品を創りだす拡販活動」の両面で行われました。

当時会社が描いた

  • 現在の顧客の業績に左右されることない、幅広い顧客と付き合いたい。
  • 製品の付加価値を高め、利益率を高めたい。
  • 自社の技術を生かしながら、従来の事業分野とは異なる領域に進出したい。
  • 自社ブランド製品を生み出したい。
  • 新しいことにチャレンジをし、常に変化に対応できる人材を作りたい。
  • 日本でモノづくりを行い続けるためにも、成長する海外市場での事業を行いたい。

というあるべき姿に対して、その後どうであったかをお伝えします。

その後のA社の改革物語

A社の2年後の売り上げは、それまでに比べて20~25%増となり、利益は赤字か限りなく利益ゼロであったのが黒字転換を図ることができました。売り上げ増、利益増の大きな要因は、新規事業が成功し、現在売り上げの約20%を占めるまでになったことです。

新エネルギーに関連した事業が世の中のブームにも乗り、順調に成長してきました。しかしながらA社ではこの2年間、新エネルギー事業の立ち上げだけではなく、いろいろなことにチャレンジしてきました。モノづくり(製品・事業)、人づくり(人材)、仕組みづくり(管理システム・情報システム)に対していままでとは違った考え方、やり方で改革を行っています。すべてのことが順風満帆とは言えませんが、以前に比べると新しいことにチャレンジするという空気が濃くなっています。

モノづくり改革

新製品開発や新事業開発においては、先述した新エネルギー関連事業が会社業績に大きく貢献しているものの、そのほかにもいろいろな改革活動を行ってきました。

  • グローバル事業...アジア市場での拡販を目指して、現地販売パートナーと連携し海外工場を新設しました。1年目は、工場は作ったものの、なかなか売り上げが伸びず苦労していましたが、現地社長自らが独自の販路を開拓し、2年目にして売り上げが増えてきています。
  • 産学連携による開発力アップ...地元の大学や専門学校と連携して、学校で考えている新技術の製品化や、学生によるデザインコンテストを開催し、若者目線での機能・デザインの製品実現に取り組んでいます。
  • 自社ブランド品開発...新たにBtoC市場に向けた製品開発を行い、自社ブランド品として販売を開始しました。

人づくり改革

  • モノづくりトレーナー育成...現在は、取引先やコンサルタントの外部の力を借りて改善を推進していますが、自らの力による改善の推進だけではなく、改善ができる人を育成できるような人材を育てるべく活動を行っています。
  • 次期経営幹部育成...現在の管理職と有望なリーダー層に対して、現在の仕事を首尾よくこなすだけではなく、会社の将来がどうあるべきか、それに向かって何をすべきかを考えることができるよう、合宿研修等を行いモチベーションアップと活性化を図っています。

仕組みづくり改革

  • 経営管理システム構築...事業別の収支やKPIを毎月の経営会議でタイムリーに検討できるように改革しました。以前は単純な業績数値を基に行っていましたが、きめ細かいメッシュでの業績管理指標だけでなく、先々の見通しや活動計画まで合わせて管理できるようになり、データで経営を見るという視点では飛躍的な向上が図られました。
  • 情報システム構築...営業と開発と製造をつなぐ仕組みを現在開発中です。(一部実施済み)これにより、データや情報の一元化がはかられ、仕事の手戻りや、ベテラン社員のノウハウに頼った仕事が激減することが期待できます。

常に改革を行う体質になるべく、今もA社はいろいろな課題を抱えながら、失敗もしながら、少しずつではありますが着実に前進を続けています。

【執筆】

松本 賢治
シニア・コンサルタント

1983年、㈱日本能率協会(現 ㈱日本能率協会コンサルティング)に入職。
生産・物流、サプライチェーンに関するコンサルティングを中心に経験を積む。
以来30年間にわたり、企業規模の大小を問わず数多くの企業の支援を行う。
最近は業務改革と情報システム構築をシームレスに行うため仕組み作りとその実践に力を入れている。中堅・中小企業においては生産に関する課題解決だけでなく、製造業の抱えるさまざまな課題に対して、経営コンサルタントとして数多くの企業を指導、各社の課題解決に当たっている。

※本稿はNECサイトに掲載したコラムからの転載です。