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ダイナパック株式会社
「包む」の未来を創る ~競争力の源泉は現場力にある~

2014年12月 1日

ダイナパック株式会社では、ものづくりの基本である設備を知り、現場力を上げることこそが、自社が強くなることに繋がるとの考えから、経営トップと現場が一体になった「設備効率化活動」に取り組んでいる。この活動のきっかけ、経営トップの思い、そして現場がどう変わってきたのかをお伺いした。

「包む」ことは同じ、でもこんなに違っていた

ダイナパック株式会社(以下ダイナパック)は、大日本紙業株式会社と日本ハイパック株式会社が2005年 1月に合併し、社名をダイナパックと改めて新たなスタートを切った。大日本紙業は1962年 8月に設立、主に加工食品の包装資材を提供してきた。また、日本ハイパックは、1950年12月に設立、電機・機械など工業製品の包装材と緩衝材を提供していた。両社は同じ「包む」技術で戦っていた競合でもあるが、扱う業種が異なり、新たな市場、技術を共にするメリットを生かした合併となった。

現在では、家電、自動車関連部品、加工食品、青果物、OA機器、ITなど用途の幅広い顧客に、段ボール、印刷紙器、軟包装材および紙製緩衝材などの包装資材の製造・販売を行っている。海外にも7事業所を持ち、世界中に広がる生産と消費を結ぶ物流に携わる企業グループである。

case39_pict01.jpg製品の作り方や、設備に大きな違いはないものの、「風土や様々な仕組み、製造現場の教育には多少違いがありましたが、逆にそれは新たな気づきとなりました」というのは、取締役 執行役員 生産本部長 大山 英男氏だ。
また、製品の特性として「工業指定製品の梱包は、輸送状況など梱包に応じ種々のスペックを充たさなくてはならないオーダーメード型で採用までの難易度が高いのですが、食品は大量生産ですので、納品後の品質、高速ラインの中でも耐えられる品質が求められます。顧客からの要求や納品後の求められる品質は全く違うものでした」と語るのは、生産本部 生産管理部 生産管理グループ 担当課長 宮地 均氏だ。

2人は現在、同社における「設備効率化活動」の推進役として各事業所を率いている。

土岐事業所での出来事が活動の原点に

ダイナパックにおける「設備効率化活動」のきっかけは、小嶋社長が土岐事業所にて導入している設備のメンテナンス講習に立ち会ったことがきっかけだった。この設備は外部のメーカーより購入しているものだが、外部の設備担当者を迎えて、オペレーターが実機で指導を受けるというものだ。この講習を見学した小嶋社長は、自社の施設生産部門のメンバーのスキル不足に課題を持った。設備でものづくりをする企業にも関わらず、このような技能レベルで良いのか、「三現主義」を大切にする小嶋社長の素朴な疑問だった。

また、齊藤副社長も若かりし頃、TPM賞受賞に向けた活動で実際にメンバーとして現場に入った経験がある。1990年、日本ハイパック時代のことであり、本活動に向けた原体験となっている。こうして小嶋社長、齊藤副社長の活動に対する意見が一致したのである。

このことについて、大山氏も同様の考えを持っていた。「私がまだ若く現場にいた頃は、スパナや金槌を持って自分達で機械を分解したものです。この繰り返しによって設備の機構などを自然と理解して行きました。今は設備そのものが高度化し、さまざまなセンサー類などが搭載されることもあって、自分達の手では分解する機会すらないのです。一方で、顧客の製品に対する品質要求は高まっており、良いものづくりのためにも、設備を知ることはとても重要なことだと思いました」という。こうして、一からものづくりの基礎を強化するため、自主保全ができるようなスキルと意識の改革を目指した活動がスタートしたのだった。

習うより慣れろ!

case39_pict02.jpg合併後から既に意識改革を目的とした改善活動を進めてきた同社だったが、宮地氏は、「設備そのものを知らない状況で、机上の技法をいくら学んで適用しても、本当の原因は出てこないのです。改善活動のあり方自体をワンランク上げて行かないと、本物の活動にならないと感じました」と語る。

今までの活動も重要だが、実際に設備のトラブルが発生した時はその現象を自らの目で確認し、なぜそれが発生したかの原因を追究して、そのメカニズムを理解することが大切である。まさに、三現主義の取組みである。そこで同社は、より実践的な活動に向けて2012年末JMACに声をかけたのだった。

相談を受けたJMAC チーフ・コンサルタントの芝田 邦夫は、ダイナパックの工場を見学しオペレーターの設備に対する関心が薄いと感じた。

case39_pict03.jpg「たとえば、設備の清掃・点検・給油チェックシートには『異常なし』となっていますが、実際の設備をみると、紙粉やインクの飛散や堆積があったり、部品の摩耗、曲りやチェーンの緩みなどが見受けられました。どれも小さな事象ですが「異常なし」と判断する状態ではないと思いました。現場の実力とはこのようなところに現れるのです」(芝田)。

こうして、同社の国内に8工場のうち、まずは4工場をモデル工場として、現場のオペレーターの意識を変えること、保全レベルを上げることを狙いとした活動に取組んだ。モデル工場の取組みやノウハウを全工場に推進することを視野に入れたマスタープランを作成し本格的な支援がスタートした。

「設備効率化活動」で現場はどう変わっていったのか!

自主自律型な取組みで現場の「意識」と「スキル」に変化

case39_pict04.jpg2013年2月からスタートした「設備効率化活動」は、今年2年目を迎え全8工場に展開しているが、大山氏、宮地氏共に現場の変化を感じている。大山氏は「今までインクを使う工程はどこの工場に行ってもインクの飛散が課題でした。これまでの対策はいずれも飛散防止のカバーをする改善内容でした。それがある工場で、発生源に遡って装置そのものを変えた工場が出てきたのです。供給量、排出量を計測して、自分達で材料を購入し、ノズルを切って、穴を空けて、そんな改善が出てきたのです。とても感心しましたし、意識や姿勢が変わってきたなと実感した出来事でした」と語る。

また宮地氏は「今まではオペレーターはものを作る人、施設課は修理をする人でした。この活動を通じて、オペレーターには自分達の設備は自分達で直すという意識が出てきました。今では設備のメンテナンススキルについて貪欲に吸収しようとしています。施設課のメンバーは、予防保全や改良、専門保全といったワンランク上の取り組みを目指しています。高度化する設備のメンテナンスに対応していきたいという意識に変わってきています」とその変化を語る。

このような変化について、シニア・コンサルタントの寺田 厚は、「指導で大切にしていることは、何を見るべきか?何を考えるべきか?を考えてもらうことです。大きな方向性やコンサルタントとしての知見は伝えますが、課題解決のためにどうすればよいか、どのような手順で進めるべきかについては、皆さんで考えてもらうようにしています。答えを出すのは簡単ですが、それでは自主性には繋がりません。自分達で答えを出すのは苦しく、難しいことですが、それが血肉になるのです」コンサルタントによる指導は月2回行われるが、1回目の指導から2回目の指導までの期間が、まさに職場が自主的に考える大切な時間だという。

大山氏は「生産量が多く忙しい職場では、活動への時間が取れないという声も良く聞きます。ただ、最近はそのような中でも、5分10分となんとか時間を作り活動をしている声も聞かれます。忙しいからやめるようであれば体質強化には繋がりません。そういう意味でJMACのコンサルタントの指導は、職場の状況に応じて上手に接していただいていると思います」という。

経営トップと現場の二人三脚

case39_pict05.jpg本活動は、3ケ月に1回、活動内容を評価する診断を開催し活動の工夫点や成果を発表する場を設けている。その場には、他事業所の部長クラスだけでなく、小嶋社長、齊藤副社長など経営トップも積極的に参加している。宮地氏は「現場にとっても経営トップと直接コミュニケーションが取れることは、メンバーの動機づけに繋がっていると思います」という。「これまでは職場単位での業務の壁、意識の壁があったと思いますが、この活動を通じて、グループ間のコミュニケーションが増えて部門の枠を超えた活動も見られます」と大山氏。

今回の「設備効率化活動」は普段の仕事を通しては見えてこなかった、アイデアを持った人材、技能やスキルを持った人材が率先して活動を引っ張り、後押している一面も見られるという。そういう人材の存在にも気づかされた活動にもなっている。

同社は、現在も顧客に差別化した提案を行っているが、今後、更に新たな提案力の強化を目指していく。そのためにも、設備マン、保全マン、オペレーター、現場の底上げがあってこそ、さまざまな提案が可能になるのだ。宮地氏は「今は基礎を固めている段階です。これからは、ボトムアップでどんどん意見が出てくるような現場になってもらいたいですね」と次を見据える。
大山氏は「一人ひとりが考えて、皆で汗をかき知恵を出す。昔の現場はこうではなかったでしょうか。まだまだ個人が力をつけて行かなければなりませんが、現場の意識はかなり変わってきています。良い方向に行っていると確信しています」と手ごたえを感じている。

コンサルタントの芝田は「各事業所の所長や製造部長からは、ベテラン社員の保全スキルの伝承や、若手社員への設備に関する教育などが一時期手薄になり、その状態で現在まできているという声が多く聞かれました。これは、ダイナパックさんだけの課題ではなく、他の日本企業でも見られる課題だと思います。将来の製造を見据えて、オペレーターのスキルを向上させるために、じっくりと継続的に腰を据えた活動を行う必要がある事業所も多いのではないでしょうか」という。

同社は、中国とベトナムにも工場があるが、本活動のノウハウを海外工場へ自分達で展開できるようになることも視野に入れている。  きらりと光る中堅企業を目指し、製造現場一丸となってものづくりの基礎を創る同社。「包む」技術をベースに経営トップと現場が一体となったダイナパックの活動は続く。

担当コンサルタントからの一言

全員参加で、現場力の向上を

ダイナパックでは、設備効率化活動を、全員参加の活動として進めています。
最近は、各社とも製造現場が以前と比べてかなりスリム化されてきており、なかなか新しい改善活動に取り組む余裕もなく、これまでの状態を何とか維持したいというところでしょう。ところが、単に維持であっても、それをしっかりとした改善活動を経験していないメンバーに伝えていくことは難しいです。「なぜそうしなくてはならないか?」についての理解の深さが異なるからです。以前に基準書は作ったが意味が良く理解されていないため、「誤って実行している。」あるいは「義務的にチェックだけしている。」などという状況が見受けられることも多いです。活動を通して、考えてもらうことで、理解を深めていくことが必要だと考えます。

寺田 厚(シニア・コンサルタント)

※本稿は2014年12月発行のBusiness Insights Vol.54からの転載です。

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