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株式会社オカムラ
女性活躍からダイバーシティ&インクルージョンへ 「目指す姿」の実現にチャレンジし続ける
〜誰もが個性と能力輝く会社への変革〜

2018年6月14日

 社会環境が変わり、生き方や働き方が多様化した現代において、ダイバーシティ推進は企業の重要課題のひとつとなっている。しかし、それをどのように進めればよいのか頭を悩ませている企業は少なくない。そうした中、オカムラがダイバーシティ推進で着実に成果を上げている。女性リーダーと10人の女性プロジェクトメンバーが会社全体を巻き込み、在宅勤務制度の導入や大規模な「ワークショップ」開催など、いくつもの「オカムラ初」を実現してきた。男女ともに誰もが活躍できる組織風土を目指すオカムラの、活動の軌跡と今後の展望を伺った。

製造業ゆえの女性社員の少なさ 「女性社員の活性化」を目指す

 2018年4月、岡村製作所は社名を「オカムラ」に変更した。1945年(昭和20年)の創業以来、オフィス家具の製造販売で国内トップを走り続けてきた同社だが、社名から「製作所」をなくすことで事業領域をさらに広げ、次の飛躍へのきっかけとしたい考えだ。ブランド名「オカムラ」と社名を統一して認知度を高めるとともに、優秀な人材の確保もねらう。

 オカムラは2016年4月の女性活躍推進法施行を機に同年8月、ダイバーシティ推進プロジェクトを発足した。その背景についてプロジェクトリーダーの望月浩代氏(管理本部 人事部 ダイバーシティ推進室 室長)は「当社はそもそも女性社員が少ないということもありますが、とくに営業職の女性が少なく、定着率も低い傾向にあります。一方、デザイン部門では女性が半数を占め定着率も高いため、そのギャップをどう埋めていくかが課題でした。これから労働人口がどんどん減っていく中で、女性社員を増やし、子育てをしながら働ける環境を整えていくことは会社の存続に必要不可欠であると考え、きちんとプロジェクトを立てて改善に取り組んでいくことになったのです」と説明する。

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管理本部 人事部 ダイバーシティ推進室 室長
望月 浩代 氏

「ダイバーシティなのになぜ女性だけ?」 モヤモヤしながらプロジェクトスタート

 一緒にプロジェクトを進めるメンバーは、事務局と望月氏が選定した。「事業部や職種を超えて多岐にわたる女性10人に声をかけました。いずれも各事業部の意見の発信や吸い上げができ、ここで一緒に力を発揮できると思った人たちです」(望月氏)

 順調にスタートを切ったかに見えたプロジェクトだったが、当初メンバーはみな「ダイバーシティ推進なのに女性だけに特化してもよいのだろうか」という疑問を持っていた。2019年3月までに女性従業員比率20%という数字目標はあるものの、具体的にどうプロジェクトを進めていくべきか、方向性が定まらずにいたのだ。

 この状況を打破すべくJMACに支援を依頼したという望月氏はその理由について、「何から手を付けてよいのかわからない中で、きちっと順序立てた提案をしていただけました。過去の実績を拝見したり、コンサルタントの笠井さんからお話を伺ったりしたうえで、最終的にJMACさんにお願いすることに決めました」と説明する。このときのことをプロジェクト事務局の尾﨑佑衣子氏(管理本部 人事部 人事企画課)は「われわれが置かれている状況を見極めたうえで、寄り添った形で提案していただけたのがとても良かった」と語る。

 こうして、オカムラはJMACをパートナーとしてダイバーシティ推進プロジェクトを加速していった。

「スピーディーな支援制度づくり」で 実効性のあるプロジェクトに

 その後は、どのような課題があるのかを綿密に調査し、取り組むべき重要課題を抽出することから始めた。同僚や上司への草の根ヒアリングや女性社員へのアンケートでは「女性管理職が少なく、自分がなるというイメージがわきにくい」「時間に制約がある社員が増加する中、もっと柔軟に働ける環境であれば」といった意見が多く寄せられた。これらをもとにオカムラの女性活躍の「目指す姿」を、男女ともに目指すべきものとしたうえで、次のように策定した。

①一人ひとりが自身の目指す姿を描き続け

②あらゆる状況の中でも自分なりの成長を常に意識し

③仲間と共に、組織の発展にさまざまな形で貢献している

 プロジェクトミーティングとして対話・議論を重ねていく中で「目指す姿」が決まった瞬間、「明らかにチームの雰囲気が変わり一体感が生まれた」と語る望月氏は「それまでみんな何を目指すのか、何がゴールなのかとモヤモヤしていましたが、『まずは女性活躍推進から始めて、その先の多岐にわたるダイバーシティ推進もやっていこう』と目指す方向がキッチリ決まったことでチームがひとつになれました」と振り返る。尾﨑氏は「メンバー全員で多様な意見を出し合って議論を重ね、全員が納得できる『目指す姿』をつくることができたので、その後は施策や制度を検討するときにも積極的にさまざまな視点からの意見を出し合うことに抵抗がなくなり、一気に進みました」と述べる。
 本プロジェクト成功のカギとなったのが、「目指す姿」の実現に向けた重点課題への取組みだ。重点課題を3つに分けて次の3チームで推進している。

①モチベーションチーム
 女性社員の日々の仕事や昇格に対する意欲の後押し(ワークショップ、他社との交流会など)

②コミュニケーションチーム
 女性社員と上司・同僚とのコミュニケーションサポート(育休復職者向けセミナー、キャリア面談用シート作成など)

③多様な働き方チーム

 柔軟な働き方を実現するための仕組みづくりと浸透(在宅勤務制度導入、フレックスタイム制度のコアタイム廃止、短時間勤務者へのフレックスタイム制度適用など)

 中でも育児・介護者が活用できる在宅勤務制度は、プロジェクトにてトライアルを実施し、スタートから10ヵ月で導入を実現した。アンケートやヒアリングからヒントを得た施策や企画をミーティングで発表・議論し、決定後は尾﨑氏の所属する人事部で制度化するというスピード感ある対応が、プロジェクトをより実効性の高いものとしている。

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管理本部 人事部 人事企画課
尾﨑佑衣子氏

オカムラ初の「ワークショップ」が熱い! 「巻き込み力」で経営層とも想いを共有

 このスピード感とともにプロジェクトで大切にしているのは「オープンなスタンス」だ。「閉じたところで勝手に何かが決まっていく」ことがないように、社内の誰もがオブザーバーとしてミーティングに参加し、意見を言うことができるようにしている。毎回、性別や役職関係なく誰かが必ずオブザーバーとして参加しており、茨城県つくば事業所で行ったミーティングでは、メンバー10人とJMAC2人(計12人)に対し、20人以上のオブザーバーが参加した。

 ダイバーシティ推進を自分ごととして捉えられるよう工夫し、情報と想いの共有を図るこの「巻き込み力」は、さらなるウェーブを起こした。それが、オカムラ初の試みである全女性社員を対象とした「ソダテルワークショップ」だ。部門を超えた交流とキャリアについて考えるきっかけの場として開催され、全6回で女性社員の8割にあたる約300人が参加した。最大80名規模での開催もあり、参加者からは「継続してこういう機会をつくってほしい」といった前向きな感想が多く寄せられた。

 実はこのワークショップ、経営層に打診したときには「全国からそんなに人が集まるのか?」「開催は難しいのでは?」との声もあった。「それでも私たちは、絶対に実現したいという想いでした」という望月氏は、役員と顔を合わせたときにはなるべくその話をして、想いを共有できる関係づくりに努めた。結果、ワークショップを実現し、役員自ら参加してメッセージを発信してもらえるまでになった。「今後も積極的にアクションを起こして経営層の理解を得ながら、いろいろな場面で巻き込んでいくことが必要だと感じています」(望月氏)

 JMACシニア・コンサルタントの笠井洋は「中村社長は『女性が活躍できる業種・業界なのに女性社員が少ない』とよくおっしゃっていますが、本プロジェクトに対しても『他社のまねではなく、オカムラに合った、オカムラ独自の活動を継続してやってほしい』と期待を寄せています。経営層の多くが『何かできることはないか』という姿勢でいてくださるのは、やはりみなさんの活動が社内に良い影響をもたらしているからだと感じます」と述べる。

「こうしたい」が形になり 意識が大きく変わり始めた

 プロジェクトがスタートして1年半が経つ今、「女性社員の意識が少しずつ変わり始めた」という尾﨑氏は「セミナーに参加したいと自ら手を挙げる人が増えましたし、『こういう風にしてほしい』といった相談も日常的に入ってくるようになりました」と述べる。さらに、マネジメント層の意識も変わりつつある。所属長も参加する育休復職者向けセミナーの翌週には、今まで時短勤務者が参加しにくい時間に実施されていた朝礼の時間を変更して、時短勤務者も参加できるようにした部門も現れた。アンケートで「ダイバーシティの方針が明確になっているか」「今の女性活躍の取組みに満足しているか」という項目についても、プロジェクト開始直後は「はい」がいずれも10%程度だったが、直近では50%を超えるという大きな変化があった。望月氏は「社内でいろいろな人から『こんな取組みはいつごろになるの』『男性の自分もワークショップに参加してみたい』と声をかけられるようになりました」と今後への期待を感じている。

 これまでの活動を振り返り、望月氏はJMACについて「本当に最初はゼロからのスタートで、何から始めたらよいか戸惑っていたのですが、的確に方向性を導いていただけたと感じています。内部の人間だけで話し合うと納得できないことでも、外部のコンサルタントから支援があると、ああそうだよねと納得しながら進めることができました。とても大きな力をいただきましたし、本当にありがたかったですね」と述べる。

 また、リーダーとしての想いをこう語った。「最初はメンバーがそれぞれ違う方向を向いていたり、想いが違ったりしていたので、どうまとめられるか、どうみんなで動いていけるか、と不安でした。しかし今思えば、まとめる必要はなかったと思います。メンバー一人ひとりが主体的に考え、『目指す姿』の実現に向けて行動した結果、今に至っていると感じます」

ダイバーシティ&インクルージョンへ 誰もが個性と能力輝くオカムラを目指す

 今後の課題について望月氏は「もちろん、女性活躍も推進していきますが、女性だけに着目しすぎず、社員全員の価値観や経験をお互いに認め合えるようなダイバーシティ推進をしていきたいですね。これに加え、個々の能力を活かすインクルージョンにも取り組んでいきたいと考えています。そのためには社内への浸透と社外へのPRも必要です。両立支援や育児休暇も女性だけではなく男性も取ることができるよう、さらに推進していけるとよいですね。そのためにはマネジメント層の意識を変えていくことも重要です」と述べる。尾﨑氏は「ライフキャリアや業務特性など、性別に関係なく自分の問題として捉えやすい部分をきっかけに活動の理解を促していくことがポイントになると思います」と語る。

 これからの具体的な施策について望月氏は「これまではわれわれプロジェクトメンバーが中心となってやってきましたが、今後は、何かやりたいと思った方が中心となって主体的に進めていけるようにサポートし、自主的な活動が増えていく状態をつくっていきたいですね。『必ず実現するという強い意志を持てば何かが変えられる』という組織を目指していきます」と語る。
 女性活躍からダイバーシティ&インクルージョンへ――新たなステージを目指し、オカムラのチャレンジはこれからも加速し続ける。


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▲今後の抱負を楽しそうに語ってくれたお二人
港区赤坂のオカムラ ガーデンコートショールームで。実際の製品を見て触れて体験できます

ソダテルロゴマークに込められた想い

 本プロジェクトの愛称は「ソダテルプロジェクト」。このソダテルロゴマークには、「オカムラの社員という多様な色・形の花をたくさん咲かせ、企業の成果という実を結ぶことができるように」という想いが込められている。社内の女性デザイナーによるデザインであるところもオカムラならでは。ロゴシールを所持品に貼ってプロジェクト賛同の意を表す社員が増加中。

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担当コンサルタントからの一言

"貢献意識"と"貢献実感"が組織変革を加速させる

 ソダテルプロジェクトメンバー10人の言動が組織内のダイバーシティへの関心を高め、組織変革を実践・推進していることに感動しています。変革の源泉のひとつに『貢献感』があります。これは変革を実践するうえで有用なエンパワーメント理論でも重視されています。貢献感は"貢献意識(貢献したいと思う意識)"を高めることと、"貢献実感(貢献したことが有用であったという実感)"を得ることが重要になります。貢献実感を高めるためには、とくに周囲からのさまざまな反響を生かしていくことです。さまざまな視点での反響を伝え、受け取り合う組織文化、まさにダイバーシティ経営の実現への期待は尽きません。

笠井 洋(シニア・コンサルタント)

※本稿は2018年6月発行のBusiness Insights Vol.66からの転載です。

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