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第161号 【小論説】人材戦略 MBO機軸の人事評価からYWT機軸の人事評価へ

第161号 【小論説】人材戦略 MBO機軸の人事評価からYWT機軸の人事評価へ

2008年05月28日

現在の人事評価は、MBO(目標管理)をベースとしたものとなっ ています。しかし、いわゆる「成果主義の弊害」現象は、このMB Oをベースとする限り、発生確率がどうしても高くなっていくよう に思います。私は、多くの企業で行われているMBO機軸の人事評 価を、YWT機軸の人事評価に変えていけば、もっと日本企業の開 発活力が強くなるのではないかと期待をしています。YWT機軸の 人事評価という考え方は、JMAC発・世界初の概念であり、この点に ついて、産業界の積極的な議論を期待したいと思います。

■MBOよりもYWTのほうが開発プロセスに即している

YWTとは、JMACの研究開発・技術開発コンサルティングの中 から生まれた概念です。Yが「やったこと」、Wが「わかったこと」 Tが「次にやること」という意味です。この概念は、世の中で一般 的に言われているマネジメントサイクル=PDCAサイクルに対抗 する概念として生まれてきました。

PDCAサイクルは、(P)目標を定めて計画を立て、(D)実行 し、(C)その実績を総括反省し、(A)対策行動をとるというも のですが、このどこが開発活動に合わないかと言えば、開発活動が 目標(計画)対実績の総括反省によって前進するものではないとい うところです。

開発活動は、試行錯誤の連続です。その試行錯誤を尊重し、安心し て試行錯誤を行い、しかも間違うことも含めて、それら全てを糧に して進めていくものです。そこに、PDCAサイクルをもってくれ ば、Pに対して確実にDをしなければならず、もしそうでなければ Cで怒られ、Aで対策をとるように迫られるということになります。 もともとPが明確であるならば、開発など必要ないのであり、Pな ど分からないからこそ開発を行うのではないでしょうか。そう考え ると、PDCAサイクルは、開発活動にとって、どうにも窮屈なも のだということになります。

YWTは、Pなど立てることに心を砕かず、何はともあれやってみ て(Y)、そこで分かったことをとりまとめ(W)、次にやること を企画する(T)ということです。このサイクルを連続して回すこ とによるマネジメントサイクルです。ここでは、試行錯誤が奨励さ れ、そこで何が分かり、次の行動を考えることに意識を集中するこ とが奨励されることになります。

その次の行動というものが、また試行錯誤になっても、またそこか ら何が分かったか(W)、次に何が必要か(T)というように考え ていけばいいわけです。こういう試行錯誤を奨励するマネジメント が開発活動を促進するということです。

翻って、人事評価といえば、MBOを中核において、目標対実績、 つまりPDCAサイクルの中にしっかり位置づけて実施をされてき ました。そして、開発活動は長期にわたる試行錯誤の連続の中から 進展するにもかかわらず、半年や1年の短期の目標対実績の人事評 価になってしまっていました。その結果、富士通で指摘されたよう な「短期に成果の出る仕事に注力し、骨太の開発がすすまなくなっ た」という結果になってしまったという指摘もよく考えてみると理 由のあるものではないでしょうか。

私は、開発者の人事評価から、目標対実績という概念を外して、 YWT機軸の人事評価にすべきであると考えるようになりました。 何をやり(Y)、何が分かって(W)、次に何をするか(T)、人 事評価表には、この3つの欄があれば十分でです。YWTのそれぞ れの内容が、どれくらい創造的であり、どれくらい人間味あふれ、 どれくらい行動的であるかを評価すればいいのです。われわれは、 MBO(目標対実績)の概念にあまりにもとらわれすぎていて、こ んなにも簡単な人事評価のやり方に気がつかないでいたことに、今 さらながら驚いています。

私が主張したYWT機軸の人事評価の考え方には、開発者といえど も「成果」を意識させることが大事なのではないか、YWTはむし ろ「成果」を意識させることを否定する考え方があり、開発者のマ ネジメントという視点からすると百害あって一利なしではないかと いう視点からの反論がでてくると思います。確かに、開発者も成果 を上げなければならないのは当然です。しかし、「成果」を強く意 識させることだけが、成果を上げる近道ではないはずです。いや、 むしろ、多くの弊害が指摘されているのではないでしょうか。むし ろ、思い切って、試行錯誤をし、開発活動の中身に意識を集中させ ることのほうがもっと強力な成果を生み出すアプローチではないで しょうか。

そういう意味では、あらためてMBO機軸の人事評価が開発者の活 動力に悪い影響を与えているのではないかと大変心配をしてしまい ます。

■人事評価の専門的作法に照らしてYWT人事評価に組み替えよう

こうした理由で、私は、できるだけ早くMBO機軸の人事評価をや めるべきであると主張したいと思います。そして、YWT機軸の人 事評価を速やかに具体化して実施すべきだと主張します。

今、日本の産業界は成果主義の弊害に悩んでいますが、YWTは、 その解決の重要な手段になります。確かに、今の人事評価は、開発 の実情をなかなか把握しにくい人が企画したものです。また、人事 部を説得するのもなかなか骨が折れるかもしれません。また、開発 者は、人事部が何を考えて人事評価制度を仕組んでいるかが見えな いところがあますので、人事部との話し合いが難しい面もでてこよ うと思います。しかし、人事評価の作法を知って、その作法に基づ いて議論すれば、十分人事部の理解は得られるはずです。ぜひ、私 たちと一緒に、その有意義な取り組みやっていきましょう。

(文責:高原 暢恭)
E-mail:HRMinfo_Consult@jmac.co.jp


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