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エンパワーカルチャーづくりの旅に出よう!─自分ごとで考えて動く集団になるには─

笠井 洋
エンパワー_ソリューションセンター センター長 チーフ・コンサルタント

エンパワーカルチャーが今の組織にありますか?

jmaceyes_kasai_01p.jpg 「社員に元気がない」「社員のやる気を高めたい」「言われたことだけやるのではなく、自主的に動いてほしい」「意見が飛び交う、アイデアを出し合う職場にしたい」──あたかも問題は社員だけにあるかのような表現で対話・議論が進むコンサルティングの相談場面です。

 社員を元気づける、やる気を引き出す、自主性を重視する姿勢、意見が認知され活かされる対話・議論の場づくりなど、社員を力づけて社員が自分ごとで考えて行動を起こそうとする「エンパワー(力づけ)カルチャー」を組織としてつくれていますか?──この問いに対して「できている」と胸を張って答えられる組織はそう多くはないはずです。

 エンパワー状態にないとすれば、その反対に位置づけられるディスエンパワー(力を削ぐ)状態にあるということです。ディスエンパワーとは、社員の力を押さえ込んでいる、削いでしまっている状態や状況のことです。

 ディスエンパワー状態になっている組織は、経営トップ層に近づくにつれてエンパワー状態が高く、ボトム層に近づくにつれてディスエンパワー状態が高いという傾向があります。ちなみに組織のエンパワー状態を知りたいなら、「JMACエンパワー状態診断」が参考になります。

 ここでエンパワー状態がどのよう形成されていくのかを紹介しましょう。これまで世の中のエンパワーメント研究を参考とし、さまざまな業種の企業・団体に対してエンパワーコンサルティングを実践してきました。それらの教訓を抽出して体系化したのが、JMAC エンパワー_ソリューション・サイクルです(下図)。

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 基本サイクルは、①貢献感、②有意味感、③自己決定感、④自己肯定(効力)感──の4つの「感」で構成されています。これらはエンパワーが実行され、変化・成果を見ていく要素としても活用できます。

 では、自分たちの組織のエンパワーカルチャーを見つめるために、①貢献感を題材にしてみましょう。たとえば、次の問いにどのように答えますか。

・みなさんの組織は貢献感、言い換えれば「何に、誰に対して役立ちたい」のでしょうか?
・どんな世の中を実現するために貢献をしていきたいのでしょうか?

 組織によっては使命、クレド、理念、信念など表現はさまざまですが、貢献感、役に立ちたいことを明確にしていることでしょう。しかし、組織の貢献感を明文化していても、部門やチームといった集団、社員一人ひとりの貢献感は明文化していますか。組織の貢献感と部門・チーム・社員一人ひとりの貢献感が関連づけられていますか。

 貢献感を関連づけることは「この組織に所属する意味、意義」をつくっていくことなのです。組織として貢献対象と貢献したいことを具体的にする支援をし、貢献行動の実践を促進させるのです。これは、自分の実現したいことに対して、自分ごとで考えて行動するためのエンパワーカルチャーのひとつだと考えられます。

 みなさんの組織は貢献感を語り合える、大切にする、個人の貢献感を尊重する組織になっていますか。貢献感はエンパワーの源泉なのです。

エンパワーカルチャーは自分ごとで考える、自分で動く集団に変える

 貢献感はエンパワーの源泉であるとすると、貢献すること(それの具体的な思考や行動)に関して意味づけが必要になます。エンパワーの要素として、②有意味感があります。有意味感とはその思考・行動で得られること、メリットは何かを具体的にイメージできることで、自分ごとで考えて行動することを促進する感覚のことです。

 コンサルティングの現場では、ときに組織の中に"やらされ感"が蔓延しているケースを見受けることがあります。やらされ感を抱くのは、今やっていることの意味、将来にどのように役立つのかという意義を見いだせていないからです。意味づけは日常の業務の中で培われるものです。しかし、日常の業務の中で作業を指示する、指示を受ける、これだけの繰り返しでは意味づけはできません。なぜこの作業をするのか、その背景、目的を伝えていくことで意味づけができるのです。

 意味づけとは、言い換えれば「組織の中の遺伝子の伝承」ではないでしょうか。エンパワー_ソリューションコンサルティングを実践する中で、手順だけが残って、なぜこのやり方をしないといけないのかを知らないままに継続している場面に多く出くわします。「なぜ」を問いかけて伝える時間を惜しんでいては、伝承することはできません。やり方を伝えるだけなら単なる「引き継ぎ」です。組織として大切にすべきことは伝承しなければなりません。そうすることで、やることへの誇り、意味づけが明確になるのです。エンパワーにとって意味づけ、有意味感は、自分ごとで考えて行動する原動力になります。

 その原動力に触れることができるようになったら、次は選択を促すことです。すなわち、③自己決定感を高めることで、具体的に何を自分ごとで考えて行動するのかを決め、良いエンパワー状態の実現へとつなげていきます。

 日本の企業には自己決定を促していくカルチャーがもっと必要です。とある組織でこんな風景がありました。管理職は失敗できないという切迫感から、部下へは指示、指示、指示の連続です。そんな状態にもかかわらず、「部下は自分ごとで考えない、行動しない」と不満を漏らすばかり。誰がこの状態をつくったのでしょう。指示だけではなく、場面によっては部下の考えを引き出し、試す機会も必要です。それを支援するのが管理職以上の経営層の役割であることを、脇に置いてはいけません。

 自己決定感を高めることは、一足飛びにできるものではありません。まずは、部下本人が「何ができるか」を考えることを管理職以上が支持し、部下が決めたことを実践する場を与え、部下に"できる"という実感を持ってもらう必要があります。

 自己決定感を大切にする組織には振り返りの習慣があります。何をやってみようと考えているのか、やってみてどうだったか、経験からの教訓を今後にどう活かすのか、といった振り返りサイクル(成長サイクル)を回していくカルチャーを意識してつくっていくことが重要です。もちろん、振り返りサイクル(成長サイクル)を回していくカルチャーは部下だけに任せていても根づきません。管理職以上の経営層の意識と働きかけが必要なのは言うまでもありません。

 自分でまず決めてみる、試してみる、経験を次に活かす──こうして自己決定感を高めていくことでエンパワーカルチャーづくりの4つ目の要素である、④自己肯定(効力)感も高まっていきます。

 自己肯定(効力)感が高いとは、自分はできるという感覚をさまざまな経験から得た教訓の抽出から高めている状態のことを示しています。自己決定すれば、試してみてその変化・成果を実感できます。このことで自己肯定(効力)感が高まれば、貢献できることの可能性が広がり、貢献できる対象も増え、深まります。さらに貢献感も高まり、相乗効果が得られるのです(下図)。

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 自己決定感と同様に自己肯定(効力)感は、自分では気づきにくい側面もあります。そのために組織の中に人・集団の成長促進に向けた率直なフォードバックの仕組み、仕掛けが必要です。

 そこでJMACではエンパワーカルチャーづくりに向けてS-Tフィードバックという考え方を大切にし、関係のある組織に提案しています。

 Sは称賛+認知、Tは提案(さらなる成長に向けた)のことです。Tは率直であること、ときには厳しい現実を突きつけ変革を促す内容を示しています。さまざまな組織で目にする"ダメだし"だけのフィードバックでは、自己肯定(効力)感は高まらないものです。

エンパワーカルチャーづくりは重要な経営課題である

jmaceyes_kasai_02p.jpg 組織にエンパワーカルチャーが根づくと、自分ごとで考えて行動する人・集団へとさらに変革していく姿をコンサルティングの場で目の当たりにしています。

 組織の文化・風土を目指す状態に近づけていくこと、エンパワーカルチャーづくりは容易ではありません。容易でないことを理解しているとはいえ、組織の文化・風土変革(カルチャーづくり)を経営課題として掲げていても経営層が本気でない組織が多いのも確かです。「組織の文化・風土変革は将来を担う管理職層主導でやるべき」と言うのは一見もっともらしい考えですが、いざ管理職層が組織の文化や風土をより良くしていこうとすると、協力的ではなく理解を示さない経営層の存在が変革の妨げになっているのが実状です。こうした状態を私は"組織の文化・風土変革のガラスの天井"が存在すると表現することも多いのです。

 経営層自らが率先してエンパワーカルチャーを組織に根づかせたいと思わなければ、カルチャーをより良いものに変革することはできません。なぜなら、経営層は今までの組織の文化・風土(カルチャー)を築き上げるのに大きな影響を与え、その結果として経営を担う存在になっているからです。

 経営層の理解と協力と自己変革なくしては、エンパワーカルチャーづくりは実現できません。すべての経営層が変革意識を持つのは難しいかもしれません。組織が変革していくには、約30%の経営層が変革への意識を明示し、その支持が得られると変化につながると考えています。この組織変革30%ルールを経営トップの方々も意識してみてはどうでしょうか。

エンパワーカルチャーづくりの5ステップ

 それでは、経営層の意識変革、組織でのエンパワーカルチャーづくりをどのように実践していけばよいのか、そのステップを紹介します(下図)。

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 まずはStep1として、組織の文化・風土の目指す姿「エンパワーカルチャーVISION」を描くことからはじめます。状況によってはStep2のファインディングでエンパワー状態の現実を直視した後にエンパワーカルチャーVISIONを描くこともあります。VISIONの有用性を理解できていない組織もあるかもしれませんが、VISIONがあるからこそ、今こうしたい、今から変えなければという目の前の問題解決だけに終始している視点を転換できる可能性があるのです。VISION思考を活用しない手はない、というのが私の考えです。

 Step3のラーニングではエンパワーの考え方、見方の理解を深める学びの場、対話・議論の場をつくっていきます。とくに経営層と理解を深める時間をつくることが大切です。当然、理屈だけは理解できない部分も多くあります。

 そこで職場でのエンパワー実践に向けたStep4のトレーニングが必要になってきます。トレーニングと表現しているのは、エンパワーの実践手法を得る、職場で試す、振り返る、行動の意図を持ってさらに職場で試す----という「経験学習サイクル」を用いてエンパワーの習慣化を促すからです。

 職場でエンパワーを定着させるために、Step5のジャーニングでは職場や実務の中でのエンパワー実践を仕組みとして取り入れます。エンパワーミーティングでは、チームミーティングなどで1週間をエンパワーの4つの感で振り返り、エンパワー状態を認識したうえで、次に何をしたいのか、何を意識したいのか、何を高めたいのかを明確にして日々の行動を意識するようにします。職場・チームの仲間とエンパワーの視点で相互フィードバックすることも有用です。

 また、エンパワー実践で得られる変化・成果を他部門間で共有することを、ぜひお勧めします。エンパワーカルチャーづくりは、他部門との交流もつくるきっかけとして活用できます。エンパワーカルチャーづくりの旅を続けて目的地に到着しよう----そんな想いからStep5をジャーニングと位置づけました。目指す組織の文化・風土、カルチャーを築くためには、継続する仕組み、仕掛けが欠かせいのです。

 みなさんの目指す組織の文化・風土、カルチャーを築くための旅が実りあるものになることを祈念しつつ、今日お話しした内容がそのための一助になれば大きな喜びです。

コンサルタントプロフィール

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エンパワー_ソリューションセンター センター長 チーフ・コンサルタント

笠井 洋

1998年 JMAC入社。組織・人・チームを力づける、しなやかさを高める組織開発コンサルティングを主領域として活動。「組織全体を対象とした組織マネジメント改革」を主要テーマとして、チームを対象としたチーム力を向上するチームエンパワーの実現、個人を対象とした人間力を高めるセルフエンパワーの実現に向けた活動を支援している。「エンパワー状態=しなやかさ」と位置づけて、変化に対応できるしなやかな組織・人・チームづくりの支援を、IT、医薬、輸送、工作機械、社会インフラサービスなど、さまざまな業界で実施している。

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