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イノベーションを起こすには何が必要か?

人材は豊富なのになぜイノベーションが起きないのか?

jmaceyes_06_02p.jpg まず最初にイノベーションといったときに何をイメージしますか? イノベーションという言葉は一般的に使われていますが、その定義やイメージは人や企業によりずいぶん違いがあるように見えますが、「イノベーション」という言葉で皆さんが思い浮かべるのは企業の製品なり、企業がやっていることがほとんどではないでしょうか。ということは、世の中でイノベーションを起こす主体は、やはり企業だと改めて感じます。企業はいろいろな側面でイノベーションを起こしやすい環境が整っていると思います。

 それはやはり「人」です。イノベーションを起こすのは人間であり、そのアイデアです。人を大量に確保しているのは大きい利点だと思います。また、それら大量の人が、所属する企業の同じ価値観の中で、特定の方向性、分野、目的に沿ってアイデアを発想していけることも、イノベーションを生み出しやすい点ではないかと思います。さらに、企業内にはアイデアに富む人もいれば、実現する力に優れている人もおり、役割分担がうまくできます。特筆すべきは、企業には高度に訓練された人材がそろっていることがあげられます。戦略を知り技術を持ち、さまざまな企業の事例を日々研究している人たちが特定の方向でアイデアを起こしていけば、いろいろな新しいものが生まれやすくなるはずです。

 では、なぜ自分の会社では生まれないのか、疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。たしかに、私が知る会社の中では、残念な例もあります。

 たとえば、「ウチにはイノベーションがない」「イノベーションを起こせ」などと経営陣が口癖のように言っていても、何がイノベーションなのか、なぜ必要なのかを自社に合わせた形できちんと説明されていないという例です。これは完全に経営の問題です。漠然と「世の中を変えるようなものを」では、いけないわけです。また、性急に成果を求めるケースも見受けますが、これもいけません。アイデア発想の研修をやりイノベーション開発せよというミッションを与えたので、来年ぐらいには何か出てくるだろう、というレベルから出てくるようなものの多くはすぐにマネされてしまいます。そのような甘いものはめったに売れません。たとえば、10年かけていこうとか、お金がかかることをしっかりと認めていこうなどイノベーションが起きやすい制度を持つなど育てていく寛容さも経営陣には必要です。それから、戦略方向が曖昧なために何をイノベーションで産めばいいのかということ自体がよくわからない状態に陥っている会社もあります。イノベーションそのものを戦略的に組み込むことができていないという例です。これでは、イノベーションが起きにくいのはあたりまえですね。

 では、戦略や方向性がしっかりしていれば大丈夫なのかというと、「今の業務のやり方や組織のあり方だとイノベーションはなかなか起きない、起きても育てられない」という企業もあるでしょう。企業の中でイノベーションを起こすには、さまざまな情報(とくに技術情報)にきちんとアクセスして、それを使えるようにするべきです。そうなっていないと、アイデアもなかなか出てこないし、技術をどう使うかも考えにくいのではないかと思います。「アイデアに富む」人は異端児で、組織内でつまはじきにされているかもしれません。アップルの故スティーブ・ジョブズ氏が、厄介者や反逆児、オタクをどううまく使うかが実は大事だ、ということを言っていたのを思い出します。

 さらに仕組みも重要です。そもそもイノベーションが本当に重要な仕事として管理されているでしょうか。イノベーションに関するKPIを設定しているかもしれませんが、実際にどうやって管理しているのでしょうか。奨励、応援制度や情報アクセスなどに関するルールや仕組み・組織、「失敗を恐れない挑戦」を許すような雰囲気づくりができているか――これらが全部そろえば、イノベーションを起こしやすくなると考えています。

何のためのイノベーションか?

 では、何のためのイノベーションなのでしょうか? 企業の場合は、顧客に新たな価値を提案・提供し、生活や環境をよりよくするためとなるのでしょう。別の見方をすれば、競争優位性を実現するためです。コストで大きく差をつける、本当に特徴的で差別化された(もちろん顧客に受け入れられる)商品を生み出すなどです。さらにその先にあるのがマインドシェアの獲得。これこそがイノベーションの目的と言いたいと思います。あの会社の製品が一番いいよねと思わせ、結果としてブランド価値を高め、市場シェアそのものも獲得していくということです。

 それをやるには、シュンペーターが述べた「新結合」、そして最近では「逆転換」(価値創造のために視点を変えて物事を組み合わせる)が必要だと言われています。

 結合のイメージですが、ざっと図式化すると、下図のようになります。

jmaceyes_06_01.png ただし、これらは全部やればいいというものではありません。Aという技術とBという技術を組み合わせて、新しい技術を開発するというケースもあれば、応用技術のも組み合わせケースもあります。技術だけでなく、プロセスの結合というケースもあります。それらにより、ものづくりでは圧倒的なコスト競争力を実現することも可能です。トヨタの水素カーは、ずいぶん前まで何億円もすると言われたのに、相当下げましたよね。技術だけではなくプロセスもかなり変えたからこそ実現できたのだと思います。

 それから最近はIoT(Internet of Things)などで、製品に情報やその他サービスを付加していこうということも出ていますし、事例としてはかなり古いのですが、デル(Dell)などのようにサプライチェーンの組み合わせでイノベーションを起こすことも可能です。

 どのような組み合わせであれ、新しい価値を創出したり再構成したりすることで、新しい市場を産んだり、新しい顧客がついてくる(産み出す)状態をつくれば、イノベーションは成功したと言えるかもしれません。組み合わせのアイデアや発想を生むための視点として、「オズボーンのチェックリスト」「ブルー・オーシャン戦略のアクション・マトリックス」「TRIZ」などがよく知られていますので、適宜活用したらよいと思います。

 ところで、先ほど「逆転換」と言いました。すでによく紹介されている例ですが、サーカスの「シルク・ドゥ・ソレイユ」がこれに当てはまります。従来型のサーカスは、家族で来て見て、必ず動物がいて...という要素で構成されていました。要素を新結合したのではなく、単にひっくり返しただけです。コストのかかる動物をなくし、サーカスのキーになるのは「ショーだよね」ということで、ショーそのもので価値を高めるために、すばらしい技を持っている人を世界中から集めたわけです。豪華なテントで、すごく異次元の空間を味わえるような雰囲気を、照明も含め、演目や演出を強く打ち出していこうと。このように結合して新しくするのではなく、何を強く打ち出し、何を小さくするかということでイノベーションを起こしている例も最近出ています。

イノベーションをどう管理(マネジメント)していくか?

jmaceyes_06_01p.jpg イノベーションで競争優位に立っても、実はその優位性は長くは続かないことが多いです。つまり、イノベーションも短命化しています。一発当てればしばらくは持つという時代ではないのです。情報も普遍化していて、製品をつくる技術も設備のおかげで普遍化し似たものがあちこちで造れるようになってきています。このように製品が急速に短命化(コモディティ化)する中で市場をリードしていくには、絶え間なくイノベーションを起こすのが有効です。これから生まれてくるイノベーションの「芽」も、ポートフォリオ的に管理して芽を一定量キープするだけでなく、そのような芽、つまり、次々と新しいものが生まれる仕掛けや仕組みがないと、優位性はすぐになくなってしまうのです。

 そこで、イノベーションをどう管理(マネジメント)するかという話になります。これも簡単に図にしてみます。

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 大雑把に、経営陣がやるべきもの、従業員がやるべきものに分けます。戦略というと、少し堅苦しいかもしれませんが、イノベーションをどんな方法でやるのかというビジョンや範囲をきちんと示すことなのです。「一発屋」にならならいためにも、ライフサイクルを見極め、次の弾を入れるタイミングをポートフォリオ上に入れて、「足りないから少し弾を出さなければ」「そろそろ違う弾を入れよう」などと見ていく必要があるのです。

 また、会社の仕組みや制度、企業文化などは、イノベーションの再生産に大きく影響します。社員達が放っておいても勝手にイノベーションをどんどん進めてくれるような会社になるのが、一番すばらしいと思います。文化のレベルまでいけば、しめたものです。文化をつくるのは経営層の仕事ではないかと思います。先代、先々代からずっと引き継いできた理念や思想を継承しながら、会社の中でどういう文化を築き上げていくか。イノベーションもそういう文化の中に位置付けていかないと、やろうと思ってもできないのではないかと思います。これらがイノベーションの管理で重要なことだと思います。

 一方、従業員については、環境が整ってきた段階でイノベーションを起こすのは現場だと思います。技術を持っているところ、お客さんに精通しているところ、ものをつくっているところ、その現場でイノベーションを創造して開発することになります。従業員のみなさんがアイデアを生み出したり、アイデアの芽をつくり出していくことが必要になります。

 そして、いいアイデアが出ても、それをビジネスにしなければなりません。それを実現する活動が必要なわけで、最近では創造段階と実現段階で分けて管理する必要があると言われています。プレーヤーや報酬、チーム構成、リーダーシップ、経営資源などが違ってきますからね。会社が大きくなればなるほど、このようにマネジメントを分けてやればうまくいく可能性が高まると思います。

 ただ、私だったら自分で考えたものは最後まで見届けたいので、途中でバトンタッチしたくないですけどね(笑)。もっとも、それも会社ごとに決めていけばよいかと思います。

リーダーシップこそがイノベーションを喚起する

 いろいろと話しましたが、結局のところイノベーションを管理(マネジメント)するために必要なものは何かというと、経営者の意思やリーダーシップです。これがしっかりしていないと、次々とイノベーションがわき起こってくることはないと考えたほうがいいでしょう。

 何度も言っていますが、イノベーションとして「何をやるのか」をきっちりインプットとして与えないと、「何かイノベーションを起こせ」だけでは、決してイノベーションは起きません。具体的な方向性を示さなければなりません。さらに起きやすくするためには、組織の構造を変えたり、体制を変えたりして、奨励・支援できるようにすることも求めらてきます。

 それから、プラットフォームの整備です。ゼロからものが生まれるわけではないので、技術や人材、ネットワークとか、何を組み合わせればイノベーションが起きるのかということをきちんと整理して、みんながアクセスできるように整備することです。

 最後はこれを一貫して継続できる、安心してできるように、一定の制度なりルール、基準を定着させていくことです。失敗しても成功してもそれをみんなで認め合い、いいものになって良かった、こんなすばらしい実績が生まれた、ということを共有できる文化に昇華させることが理想の姿だと思います。

 イノベーションのマネジメント対象について、自社では何をどう設定すればよいか、などはJMACでもお手伝いしますので、ぜひお声がけください。

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コンサルタントプロフィール

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経営構造転換センター センター長 シニア・コンサルタント

松田 将寿

早稲田大学大学院法学研究課修士課程修了後、1994年 JMAC入社。製造業を中心にコンサルティング経験は20年超。生産領域コンサルティング13年、戦略領域コンサルティング8年の経験を持ち、支援企業は製造業を中心に国内外(海外は現地企業含む)あわせて100社を超える。主要領域は、製造業における経営戦略策定・経営戦略・経営改革実現支援で、とくにその企業のマネジメントモデルとビジネスモデルの両面を描き戦略を実現していく支援に特徴がある。ほかに品質保証マネジメントシステム、サプライチェーンマネジメントシステムなどクロスファンクショナル領域の支援に強みがある。

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