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TPマネジメント(Total Productivity Management)

 経営者の方からよく耳にするのは、トップの思いが現場に伝わらない、改善活動は活発だが経営成果に結び付かない、各部門の活動が部門内での活動に終始しており部門間の連携がうまく行かない、改善活動そのものが見えにくい等々で、企業活動を行う上で様々な問題点が提起される。経営目標のブレークダウンは行われているが、数値の展開が主であって、施策との連動となると甚だあやしいものとなっており、結果として年度末に目標未達に陥り、終始言い訳が始まってしまう。トップも経営目標が体系的に展開されていないため、言い訳を聞かざるを得ない状況となっている。このような場合、多くの企業で、改善に関する個別目標の設定が主となっており、全社あるいは工場全体の総合生産性を算出する仕組みが非常に脆弱な状態になっている。

 TPマネジメントは、このような事態に陥らないために、トップの思いを具体化し、業績目標(売上高や利益額、QCDなど数値目標)の視点から、総合的な生産性指標を設定し、その目標をチームや個人レベルにまでブレークダウンし、各個別目標を達成するための施策を明確にすることで、確実に成果を出そうとする思想である。TPとは、トータル プロダクティビティーの頭文字をとったもので、まさに総合生産性を意味する。

 多くの企業でTPマネジメントを導入・推進し、総合生産性を飛躍的に高めた結果として、1985年に第1回TP賞が授与され、その後約100社の上る企業がTP賞を受賞している。近年さらに本マネジメントの研究を進め、ものづくり革新を売上げ増大につなげるというマネジメントシステムにまで、TPマネジメントを発展させている。

TPマネジメントの定義

  1. 企業・事業所が意図した総合的生産性向上に対する課題を、的確且つ効率的に実行するために具体的な達成目標と効率化基準を示し、
  2. トップダウン・重点主義の姿勢を基本として、
  3.  企業全体の活動がその達成目標に直結し、達成目標の効率的な実現に対してどの様に貢献するかを明らかにし、
  4. 意欲的で活力のある実行体制を効果的に築き上げ、
  5.  全員が一丸となって、経営の体質を革新的に伸ばし、また運営して、所期の実績を挙げていくことを意図した経営管理技術である。

TPマネジメントの特徴

  1. トータルの指針を示す戦略経営の「目標設定」を行う。
    企業・事業所全体として実行したい経営課題は何か。そのためには、どの方向へ、どのくらいの力を伸ばして行く必要があるのか、そのための達成目標を示す。

  2. トータルな体系による重点部分への「目標展開」を行う。
    示された達成目標を実現して行くには、どの部分に重点を置くべきかを体系的に考えて目標展開し、具体的な個別目標を明確にする。

  3. トータルな範囲から見て有効な「施策選定」を行う。
    各個別目標に対し、企業・事業所全般を広く見渡してもっとも有効な施策を探し出す。

  4. トータルな活力を持って運営される「組織体制」を編成する。
    トップダウンを基本にボトムアップの活動を結びつけ、ライン活動とスタッフ活動を縦横に組み合わせて、リーダーシップが効果的に発揮でき、各立場からの全員参画意欲の大きい実行体制を築き上げる。

  5. トータルで得られた高い水準の「総合実績」をあげる。
    極めて高い水準にある成果を獲得するとともに、それを具体的に管理可能な形で維持向上させることができる体質とする。

文責:JMACコンサルタント 石山真実)

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