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伊藤 冬樹
第一線の組織マネジメントを考察する

第14回 組織マネジメントの推進

 前回までで組織マネジメントのあり方について紹介してきました。ところが、マネジメントのあり方はわかったけれど、実際に現場でこれらのマネジメント行動を取ろうと思っても戸惑ってしまう人もいるかと思います。頭では理解したのだけれど、これまでこれといった働きかけを行ってこなかった人にとっては、"初めの一歩"のハードルは決して低くはありません。今回は、組織マネジメント、それもやりくりのマネジメントという一見掴みどころのない施策を、職場内でどう展開するかについて話を進めたいと思います。

「場」を仕掛ける

 経営施策を職場へ展開させるに当たっての働きかけとしては、①指示、②仕組み・ルールへの落とし込み、といった方策がありますが、これらの方策にはそれぞれ限界があります。
 まず、指示ですが、フェイス・トゥ・フェイスで相手の顔を見ながら直接伝えられるメリットはありますが、その場限りになりがちな限界を抱えています。つまりその場では理解しても、その場を離れた瞬間に意識の中心は直近の仕事に移ってしまい、指示内容がいつの間にか頭から離れてしまいます。
 また、2つ目の仕組み・ルールは見える形で残るので忘れられることはありませんが、実際に実行するかは結局は本人の意志次第になってしまいます。さらに仕組み・ルールは固定的になりがちで現場の状況の違い、変化に柔軟に対応できにくい点もあります。
 そこで、お薦めしているのが3つ目の行動、"場"の運営です。経営施策を実施する日時・場所を具体的に決めて、そこに関係者を集めて施策を実際に推進します。たとえば「より良い職場づくりの第一歩として、職場の将来像について検討する場を○月○日に△ルームで開催する」などです。その場で実際に施策を推進するのでその効果も実感できて、現場での施策の定着につながります。
 これらの3つの方策はどれかひとつを選ぶということではなく併用することが望ましいです。場の推進を前提とすれば、仕組み・ルールは精緻・複雑なものにしなくてもすみますし、指示も本当に伝えたいポイントに集中させ、詳細は実践の場で、ということになり各施策の限界も低減されます。

状況に合わせた「場」を企画する

 それでは具体的にどんな場を仕掛けていけばよいのでしょうか。
 目指したい場の姿は、職制内でのコア業務において業績達成を目指し、やりくりのマネジメントを実践している姿ですが、ストレートにこうした場を設定しても現場はシラけるだけといった状況も起こりかねません。
 やりくりのマネジメントが機能する前提としては、職場のメンバー間、とくに管理職とメンバーの間の心理的距離が近いことがあげられます。距離が近くなることで職場が一体となって業績達成に向けた行動を取ろうという気運が高まります。職場によっては、まず初めにこの心理的距離を近づけることを目的とした場を設定する場合もあります。また、急に業績と言われてもピンとこないメンバーもいる場合には、まずはメンバー自身が成果を感じられる取組み(たとえばムダな業務の排除、能力・スキルアップ)を行う場を設定します。
 このように基本的には職場の状況に応じて場を企画するということになりますが、企画の際のガイドラインとしてわれわれは、活動の対象と目標レベルから区分して4つのカテゴリーを設定しています(図1)。
 これらの4つの場はどれか1つだけを推進するのでなく、職場の状況に応じて変化させていきます。以下でそれぞれの場の概要を紹介します。

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【第1の場】現場マネジメント変革の場

 第1の場は、職制マネジメントのフォーマルな場で、職場の業績達成に向けた取組みを行います。管理職も組織メンバーも基本的には全員が職制上の役割と権限を担って参加し、自律自走型の組織マネジメントを推進します。他の場からスタートした場合も最終的にはこの第1の場の展開を目指していきます。

【第2の場】人的ネットワーク構築の場

 第2の場は、先ほど話をした心理的距離を狭める場です。職制の枠を外したインフォーマルな場とし、この場には管理職も肩書きを捨てあくまで個人の立場で参加します。

【第3の場】チーム活動の場

 第3の場は、自分と職場の仲間の現場レベルで成果を感じられる活動を進めていく場です。基本的にはメンバーの自主活動の形をとります。管理職は自分が持つ権限を活用して活動を支援していきます。業績・経営と言われてもピンとこないメンバーが多い場合に第1の場への中継ぎ施策として導入することもあります。

【第4の場】経営・事業を意識する場

 第4の場は、担当層に経営・事業やマネジメントを意識してもらう場として位置づけます。全社的に展開する際には、経営層との直接的コミュニケーションの場として企画することが多いですが、こうした場の設定がむずかしい場合は、たとえば経営・マネジメントをテーマとした勉強会や読書会を開催するなどで関心を高めていくことができます。

既存のマネジメント制度の運用改革を進める

 やりくりのマネジメントの展開に当たっては、既存のマネジメント施策の活用を大前提に進めていくことが重要なポイントとなります。
 本コラムではやりくりのマネジメントを主語として話を進めてきましたが、職場内にはすでにいろいろなマネジメントの仕組みが導入されています。よってこれら既存のマネジメントの仕組みを運用する際にやりくりのマネジメントの考え方を取り入れるといった捉え方が本来的であると考えます。
 たとえば、多くの企業で採用されている目標管理制度は第1の場の施策に位置づけられますし、小集団活動は第3もしくは第1の場と位置づけることができます。最近は、社内運動会や社内旅行の復活の声も聞かれますが、これらは第2の場に位置づけられます。これらの運営に当たってやりくりのマネジメントの考え方を適用することで、それぞれの施策の目標達成を目指していきます。
 このように自職場の状況、そしてマネジメント施策を念頭において、無理のない自社に最適なやりくりのマネジメント施策を企画・展開し、成果につなげてください。

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コンサルタントプロフィール

伊藤 冬樹

HRM革新センター チーフ・コンサルタント

伊藤 冬樹

1985年 JMAC入社。新事業開発を振り出しに、事業戦略立案、マーケティング領域の支援経験を経て、人材マネジメント領域のコンサルティング・教育を行っている。人材マネジメント領域においては、人事制度、人材育成体系、組織活性化などの仕組み構築のほかに、泥臭い第一線組織における組織マネジメントのあり方を深く研究・考察。そこから得た知見をもとに、現場における目標設定、コミュニケーション、業務改革、OJT、評価などの組織マネジメント運営支援を幅広く行う。人材マネジメントの立場からの企業・組織の業績貢献、改革推進でも大いに活躍している。


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