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第10回 事業化の検討 〜事業モデルの検討〜

 今回は事業モデルの検討について解説します。

1.自社事業の範囲を定義する

 事業モデルを検討するにあたり、自社事業の範囲を定義するために、製品・サービスの実現に必要な事業活動を機能ごとに分解し、下図のように自社とパートナー企業の分担を検討します。その際に、付加価値が生み出されるポイントや実現上の課題を明らかにします。

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 最近の傾向として、SPA(製造小売)のような自社で企画から販売まで一貫で行う企業と、必要機能に特化してアウトソーシング化する企業とに分かれます。言うまでもなく、原則は自社のコアコンピタンスに資源を集中させることです。

 日本企業に多いパターンは、企画、開発、生産試作までを日本人が実施し、量産試作以降はローカライズあるいはアウトソーシング化するケースです。トータルシステムとして、「どこで儲けるのか」「それが真の顧客価値とリンクするのか」などについて経営陣を含めて議論する必要があります。

2.事業モデルと課題

 下図に事業化計画を検討する際の視点とその課題を示します。

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 たとえば、東アジアに展開する場合は、ハブをどこにして商売をするかを考えなければなりません。この場合、バンコクをハブにする企業が多い傾向にあります(JMACもバンコクに拠点があります)。開発は日本で、生産と商流はバンコクを拠点にして、ベトナム、マレーシア、ミャンマーなどへ展開するのも一例です。ローカルの展開に関しては法規制が違うので、認可について考えるのも当然のこととなります。

 また、かつて中国で日本の高品質の仕様が受け入れられなかったことがありました。ローカルの顧客価値とは何かを改めて現地・現物で確認する必要があります。日本人への信頼はもちろん大切ですが、GDPの範囲で買える購買力を考慮したコスト設定と仕様のバランスは、商売の必須要件です。

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