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第3回 事業化のネタづくり 〜技術の棚卸しと強みの評価〜

1.技術の棚卸しと「見える化」

 棚卸しの対象となる技術を選定するときは、自社の主要製品を支えるコア技術・技能、それを支える要素技術に着目します。
 技術分解視点として、「実現化技術」と「製品技術」に分けています。実現化技術とは、ものづくりの工程を技術化したものです。さらに材料設計・製品設計・製造技術に分けています。製品技術は、製品を成立するうえでの主要技術です。
 技術分類とは、主語と述語の表現として「◯◯を△△する技術」と定義しています。ポイントとしては、主語、述語を明確に記述すること、共通言語を意識してつくることです。要素技術は主に技術方式、製造方法、ノウハウなどです。

 下図はMEMS技術(半導体技術を応用した部品)の棚卸しをした事例です。同じ半導体製造装置を使用してもその使い方により、工程能力が大きく違います。使い方をノウハウとして記述して、それが差別化の源泉になることも多いのです。この特徴は日本の製造の強みにもなっています。まず最初に大切なのは、見える化して「自社の技術の源泉は何か? 競合と比較してどうか?」を客観的、冷静に俯瞰することです。

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2.強み(差別化)の評価視点

 に評価視点を示しました。差別化の源泉となるのは、希少性(R)と模倣困難性(I)です。  日本のものづくりの歴史を振り返るとアナログとでデジタルがキーワードになります。デジタル化したものは誰にでもまねされ、新興国などに追い上げられます。日本が差別化できる源泉として、どこかにアナログを入れておくのもひとつの戦略です。この要素に日本人が持つ「改善で積み上げていく強み」を活かすのは当然のことです。前述した「半導体の工程能力アップノウハウ」は典型的なアナログ視点です。

 技術評価の仕方としてV・E・R・I・Oで評価点をつけて、総合評価と理由を記述します。評価者は技術者当人、技術部長、第三者の視点として技術がわかる企画部門、外部の人の活用などがあります。棚卸し表をベースにして、経営者も入れて「なぜこの技術なのか?」を議論する必要があります。次に技術を「どの方向に展開していくか?」を議論するべきです。この議論が次への技術・事業への契機となります。

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