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BETAGRO(タイ)

「全社戦略展開プロジェクト」で培われた全社の「改善マインド」
~「見える成果」のベースには「改善マインド」の浸透があった~

自社で生産性向上に取組んでいたBetagroグループは2000年、JMAC支援の元「KAIZEN」活動を始動させた。その後2006年に「全社戦略展開プロジェクト」を導入した同社はどのようにこの活動を全社へと推進させていったのか。今ではDNAとなったこの取組みや、モチベーションアップの仕掛け、今後の展開について紹介する。

「生産性向上」の効果をあげた「KAIZEN」との出会い

case35_pict01.jpgBETAGROグループ(以下BETAGRO)はアグロビジネスを中心にしたタイの大手食品グループである。設立は1967年、主要な事業には、飼料製造、鶏、豚の飼育及び加工、動物等の薬品製造、加工食品の製造販売等が有り、グループ企業30数社、スタッフ約6千人、オペレーター約2万人を抱え、主な事業で業界第2位の実績あるグループである。

1980年からは日本企業との合弁会社の設立も積極的に推進。現在では、三菱商事、住友商事、味の素、伊藤ハム、丸大食品、フォーシーズなど多くの日本企業と合弁会社を展開し、日本にも鶏肉、豚肉などの加工食品を輸出している。ASEANではラオス、ミャンマー、カンボジアなどにも工場や契約農家を持ち、さらに市場としてアジア圏へも事業を拡大している。

2代目のVanus Taepaitphongse氏は1988年にCEOに就任「世界の人々に安全で、高い品質の製品を届ける」ことをビジョンに掲げBETAGROを率いている。当初は自力でPIP(Productivity Improvement Program)活動と命名し生産性向上に取組んでいたVanus氏だったが、その後JMACを知りKAIZEN活動の支援を依頼する。2000年のことだった。

KAIZEN活動は、まずグループ企業の鶏肉加工を行っているロッブリの工場で展開された。KAIZENチームが編成され、IEをベースにした工場内の改善活動は順調に進み、5年を掛けて全社へと展開された。各工場で改善成果があらわれ、合わせてインターナルコンサルタントとしてのKAIZENチームも育っていった。Vanus氏も「『KAIZEN』活動は気に入っているし、成果も出て良い活動だと思っています」という。しかし「ひとつの小さな問題があると思う」と言ったという。

その小さな問題とは「確かに工場は改善されてラインの作業はスムーズに流れ、品質も安定してきました。ただ、それが会社の損益に対してどれだけ影響を与えているのかという手ごたえを数値として把握したいと思いました」と当時を振り返る。Vanus氏の求める成果とは、生産性向上と合わせて、PL/BSにも反映された見える成果だ。Vanus氏は既に活動の次なるステージを見据えていたのだった。

「全社戦略展開プロジェクト」のスタート...戦略と財務にリンクした改善活動へ

この問題にJMACは「全社戦略展開プロジェクト(注1)」を提案する。総合目標を設定し、各部門に目標を展開する。その上で全社の生産性向上を図り、予算、財務とリンクさせるというものだ。
JMACからは、チーフ・コンサルタント石田恒之とタイ人コンサルタントが支援にあたり、2006年下期にグループ最大の工場でもあるロッブリの鶏肉加工工場で開始した。2006年はマネジメントの仕組みの構築、目標設定、目標展開を中心に行い、2007年が実質的なスタートとなった。

同社におけるこのプロジェクトの特徴は、企業業績との関連をより明確にして、従来のKAIZEN活動のレベルアップをすることだ。経営者から明確に目標を提示し、それを目標展開という形で各部門の目標に繋げていく。これまではエリアを絞らず、多くのプロジェクトが並行して推進されてきた歴史から「トップマネジメントの思いや、やりたい事が現場に明確に伝えきれていないのではないか」というVanus氏の思いを反映し、プロジェクトは推進された。

しかし2007年にはビジネス環境の悪化という向かい風が予想され、経営陣は損失が出るだろうと覚悟したが、Vanus氏はあえて多少の利益を出すという高い目標を設定した。

この目標に石田は、今までの自社独自の改善活動に加え「明確な目標」「明確な責任」「明確な活動範囲」「営業利益、コスト意識を持ったクロスファンクショナルな活動が改善に結びつく」「過去に不可能だったことも改善機会になる」ことをさらに徹底して全員に共有した。その上で、現場の課題に即した改善策と手法を伝え、現場と一体となって活動を推進していった。こうした積み重ねの中で、オペレーションの改善と戦略と財務がリンクした全社戦略展開プロジェクトが構築されていった。

活動を通し徐々にVanus氏の考えが現場に浸透していく。当初の予想を大きく裏切る形で2007年の:経営目標がクリアされた。改善マインドの歯車が動き始めた瞬間だった。「ビジネス環境の向上という追い風もありましたが、この活動によって各マネージャーが『目標展開』の手法を学び、どこに焦点を当てて改善するべきかを学んだことは非常に大きかったと思います」とVanus氏は語る。

このテストケースの成功を受け、手ごたえを感じたVanus氏は、一挙に全社活動へと展開させていく。

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モデル工場での習得経験を他へ水平展開

2012年までJMACが支援した全社戦略展開プロジェクトだが、実は他社とは少し違った方法で展開されていった。それは、水平展開のスピードが速かったことと、主にBETAGROのプロジェクトメンバーか中心となって推進されたことである。最初はモデルとなった鶏肉加工の子会社で、本社から10数人、工場から10数人程度のスタッフが集められプロジェクトチームがスタートした。2007年中に目標の設定、各部門への目標展開、具体的な生産性向上を図るプロジェクト運営に携わり、考え方、手法を習得した。

その後メンバーはそれぞれグループ企業へ赴き、自らが主導してグループ各社の幹部とともに各社プロジェクトを展開する。JMACのサポートは、餌工場、豚肉加工工場、ソーセージ加工工場、製薬工場などのそれぞれの事業のモデル工場が中心で、初年度のプロジェクト経験の中では出てこなかった問題や新たな課題について石田がアドバイスを行い、新たな手法を加える形で全社展開が進められていった。

この活動を通して石田は「BETAGROのメンバーは、もともと分析、改善技術を持っており、改善を実行する力が非常に高いと思いました。さらに決めたことを最後までやり切る力がとても高かったのです。改善手法を伝えるときっちり宿題をこなしてきます。言われたことは一通りやってみて、次回までに疑問、質問をリストアップしてくるのです。その意欲と意識の高さには感激しました」と言う。

Vanus氏は「5年掛けて社内に浸透した『KAIZEN』で社員が成長していました。それが良い原動力になったと思います。石田さんは非常に良いコンセプトを持ってきてくれましたし、メンバーも自社の特性を良く知る強力なチームでした。お互いの相乗効果で成果を上げられたのだと思います」と語る。

モデルプロジェクトで学んだ後に他の工場で自分が主導しプロジェクトを推進していく、そんな「自分ごと」の学びが活動を確かな成果へと繋ぐ大きな歯車になっていった。そしてもう一つ、モチベーションを上げる工夫もプラスされていた。

「KAIZEN」マインドが原動力~まだまだ続く快進撃!

「KAIZEN」マインドがBETAGROの文化へ

元々改善活動に取り組んできた同社だったが、全社戦略展開プロジェクトによって自分たちの成果が見えるようになり、その成果発表をする場を作ったのだ。「TPmチャンピオン」と名付けられたこの場では、プレゼンテーションを行い、コンペティションで最優秀部門を競い合う。年々参加人数が増え、2013年は500名が参加するイベントになり、今年は1000人が参加する一大イベントへと拡大している。

Vanus氏は「TPmチャンピオン」について「改善活動は日々の業務にプラスした活動になります。ただ大変なだけの活動では長続きしない。見えるようになった成果を披露する場があったら、活動にも張り合いがでて、モチベーションアップにも繋がるのではないかと考えました」という。

またVanus氏は、2013年チャンピオンに選ばれたリーダーに、従来のパワーポイントを使用したプレゼンではなく漫画や映画のような違った発想で社内広報を行ってはどうかと率先してアイデアを提供している。今まで廃棄していた鶏の血液を固め製品化した食べ物「ブラッド・ケーキ」を製造しているこの部門では、キャラクターを作って、そのキャラクターにタイで有名な女優の名前「パン・ケーキ」と名付け、社内に認知してもらう活動も行っている。

Vanus氏は「『パン・ケーキ』のキャラクターはとても効果があったと思います。既に社内に広く認知されましたし、今年のコンペティションの際に映画仕立てで上映する予定なので、皆がそれに出たいと思っていることでしょう」と自らも楽しんでいる。

「『全社戦略展開プロジェクト』活動を通して、『改善マインド』や『改善活動』は現場のメンバーの意識の中に定着しつつあると思います」ともいう。2006年に始まり2012年までJMACが支援しながら進められた全社戦略展開プロジェクトは、自走しながら工夫を重ね、今や「DNA=BETAGROの文化」となっている。

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培われた「KAIZEN」マインドでさらなる成長を目指す

全社戦略展開プロジェクトにより「改善マインド」という基盤が醸成された同社だが、さらに2007年からはシニア・コンサルタントの近藤孝憲によって、BPR、人事制度改革、ブランディング、BCPなどの強化に向けた支援へと広がり、2012年からはシニア・コンサルタントの松田将寿、永井敏雄らがERPに先立ち、会社のありたい姿、全社全体戦略、各事業戦略などの策定支援を行っている。

2000年からの活動を通しVanus氏は「これまで欧米のコンサルタントや著名な大学の先生のアドバイスも受けてきましたが、JMACが大きく違っていたことは、現状に合わせたプロジェクトの推進や、BETAGRO流にアレンジを加えてくれたことです。セオリーやツールを皆が理解しやすいようにシンプル化して進めてくれたことも成果の実現に結びついたのだと思います。何よりもJMACの目標達成へのコミット力が凄いと感じました」と評価する。

中でも「私が一番気に入っているのが『見える化しながら進める方法(Visual Management)』です。顧客へのインタビューが必要なプロジェクトがありましたが、近藤さんはそのインタビュー内容を1枚のレポートにまとめ、その日のうちに提出してくれました。担当社員も近藤さんと同行していたため、社員教育の観点からも非常に役に立った出来事でした」とエピソードを語る。
現地で共に支援を続けるJMAC Thailand CEO勝田博明は「トップ自らが全社戦略展開プロジェクト活動へコミットし、活発な意見具申を醸成して、迅速な意思決定を下す様は、日系企業にも大いに参考になると思います」と語る。

同社は、ヨーロッパや日本だけでなくASEAN地域進出も更に推進していく。「ビジネス先行ではなく、最初の一歩は友人を作ること。他の企業が向上するよう助力することで友人になることが、ひいてはビジネスにも繋がる」と考えているという。「私の父のメンタリティーは『生き残ること』でした。強い会社となったBETAGROは『生き残ること』+我が社の知識を、顧客や社会のために使わなくてはならないと思っています」とVanus氏はBETAGROの行く先を見据える。
この「ブレない軸」と培われた「改善マインド」で成長を続けるBETAGROの快進撃はまだまだ続く。

※注1:全社戦略展開プロジェクトとは、JMAグループでTPマネジメントと呼ぶ手法で、BETAGROでは、同社でも既に導入していたTPM(トータルプロダクティブメンテナンス)と区別してTPmとよんでいた

担当コンサルタントからの一言

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