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株式会社文明堂銀座店

組織変革で「本物のカステラ」の伝統を後世へつなぐ
~改革を経て攻めの姿勢へ転じる!新たな文明堂銀座店の歴史が始まった~

文明堂グループは創業113年という歴史ある老舗企業だ。関東および東北・北海道を販売エリアとする文明堂銀座店は、震災等度重なる苦難を乗り越えてきたが、古い企業体質が足かせとなり、厳しい経営状況から抜け出せない状態が続いていた。そんな中、本物のカステラの味と伝統を守るため、痛みを伴う組織変革を断行した。改革を通し文明堂銀座店はどのように変わっていったのか。これまでの取り組みを紹介する。

度重なる苦難を乗り越え老舗の歴史は続く

 「文明堂」のルーツを辿ると、明治33年、長崎の地でカステラを中心とする菓子製造販売業を創業した頃まで遡る。かつて伝統産業の老舗や商家では「暖簾分け」は珍しいことではなかった。「文明堂」も大正3年に東京へと進出し、昭和28年には勝どき工場を開設。その後株式会社化や、分社化を経て「文明堂銀座店」が誕生した。今もカステラへのこだわりと職人の技を継承する歴史ある企業である。

case24_pict01.jpg  その長い歴史の中では、関東大震災、第二次世界大戦と様々な苦難を乗り越えてきた同社だが、2011年、東日本大震災で再度被災し、甚大な被害を被った。当時の状況を吉川精二取締役社長はこう振り返る。

「当社の船橋工場は京葉食品コンビナートにあるんですが、ここは埋立地でして、実際に中の設備は相当動いたり傾いたりで、再稼働までに約2週間くらいかかりました。また、宮城の東北営業所は鉄筋だったため評価としては半壊までに至らなかったものの、実際には外壁もひどくひび割れ、退去も考えなくてはならないレベルまで被害を受けたんです」。
自社の生産機能がストップしたことに加え、お客様も多い東北の営業拠点を被災した影響が重なり、しばらく売上など期待できるような状態ではなかった。

 一方同社では震災以前から老舗企業ならではの課題も抱えていた。社員はお客様目線の意識が薄れており、今までと同じことを続けていれば良い、また変えることができない組織体質も目立っていた。
「たとえば商品開発でいうと、カステラはガリバー的な商品。長らくお客様にも信頼いただいていますし、老舗専門店ならではの役割があるんじゃないかと。だから、『あの文明堂が?』と言われるような思いきったことができなかったんです」(吉川社長)

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カステラは10斤、12斤という木枠があって、風味を損なわないよう、食べる直前に切る、またはちぎって食べるのが一番おいしいのだ。しかし、顧客や市場のニーズが変わる中、ある種そういうタブーにも踏み込まないとタイムリーにマーケットへ対応できなくなっていた。思い切って固定観念を捨て、客観的に物事を見られるような柔軟さが、当時の文明堂には求められていた。

二人三脚ではじめた組織の抜本的改革

そのような厳しい経営環境下、今から約1年半前、吉川氏は社長に就任する。決して楽な船出ではなかった。そこで、古い体質を見直し、新たな文明堂銀座店へと再生するために、JMACへ支援を依頼したのだ。

「元々、当社はJMACさんとお付き合いがあったのですが、他のコンサルティング会社と違い、戦略を立てるだけでなく、現場に入り込み、事実を掴んでフレキシブルにカスタマイズしていただけるところに期待して支援をお願いしました。そして、今回はじっくり腰を据えて二人三脚で経営改革をしてもらいたいという強い想いがあり、常駐でコンサルタントに入ってもらったのです」(吉川社長)。
そこで従来にない常駐型の経営ボードメンバーとして抜擢されたのが、シニア・コンサルタントの溝口直樹だった。

当時の状況について溝口はこう振り返る。「文明堂銀座店は老舗としての、『カステラの本物さ』を持っていました。ですが、それだけでは全国的にこのブランドを守り続けるのが厳しい状態だったのも事実です。また、『カステラの本物さ』へのこだわりが、高コスト体質にも繋がっていました」

カステラは昔から日本人に馴染みのある菓子。また三笠山、世に言う「どら焼き」もそうだが、人気があるがゆえに、老舗ブランド品に追従した商品を他分野からの参入も含む多数のメーカーが投入してきた。味・価格帯・サイズ・日持ちやフレッシュ感も千差万別な商品が市場に多く出回っていた。こういった商品とも戦わなければならない。昔ながらの老舗の味を知っている人ばかりが消費者とは限らない。本物の味を知って欲しいというフロントランナーの意地をかけた戦いが始まった。

 「ただマーケットを追いかけるのではなく、老舗の味を守っていくために、市場でこういう商品と戦って構図をひっくり返さないと。危機感と老舗としてのプライドを持って、打ち負かす必要がある。それがここに来た私の使命。」と、溝口は語る。

痛みを伴う改革の末、戦える素地が生まれ始めた

 もちろん、ひっくり返すといっても容易ではない。まずは収益をあげ、品質、製造、商品開発、営業、流通、販売、コストに至るあらゆる面で総合的にバランスをとって、競争力を高めなければ市場で打ち負かすどころか、生き残れない。そのためにも、強い「文明堂銀座店」へと変革していく必要があった。
「老舗の体質では、元々下から上へボトムアップしにくい風土があったのも事実です。また、新しいものを受入れずらい組織ではありました。」と吉川社長は言う。

そんな古い体質を変革すべく、今回の改革で大鉈が振るわれた。 「社長は『陽』。表舞台で社員へ前へと進むメッセージを発信し、リーダーシップをとって引っ張る役割です。一方、私は『陰』。社長の黒子として改革を実行する役割なのです。そこはまさに二人三脚でした」と、溝口は話す。
そんな改革の過程での象徴的なエピソードを吉川社長は語る。それは物流における大きなトラブルだ。

全社の業績改善とコスト削減を進める中、物流面でもコスト削減方法を模索していた。当時は埼玉にある委託先に箱詰めから配送まですべて委託していたが、その委託先では専用の作業場所を確保して業務を行っていたため、業績が悪化して物流量そのものが減る中でもコストダウンへの協力が仰げなかった。
ちょうどそのころ、工場が勝どきから船橋市へ移転する。物理的な距離の問題も加わり、食品コンビナートという場所柄、移転を機に3PLの形で物流業者変更を行った。しかし、蓋を開けてみれば、理想とはかけ離れたひどい状態に陥ったのだ。

「お歳暮などの物流量が増える繁忙期に、物流がパンクして対応できなかったんです。もう欠品だらけという有様で、お客様にも大変ご迷惑をおかけしてしまいました」(吉川社長)
これでは死活問題。すぐさま社長を筆頭に工場の人間まで総出で夜通し対応にあたったものの、結果的にすべてをカバーできず、信頼を損ねて一部の顧客を失った。これまで業者に丸投げしていたがために、社内にデリバリーノウハウなるものが全く残っていなかった。まさに自社の抱える弱点が露呈した出来事だったと吉川社長は振り返る。

 しかしこの物流問題解決を通して感じられた変化もあるという。各セクションの次世代を担う40代の社員達が自主的に動いた。全社のことを理解し、自部門の役割を考え行動し始めたのだ。今では物流問題は解決し、出荷までの全工程を把握し欠品そのものを防ぐ仕組みも出来上がっている。
「『禍を転じて福と為す』ということわざじゃないですが、ピンチをチャンスに変えた象徴的な出来事でした」と吉川社長は話す。

 一方こうした出来事や、一連の改革の過程で、古い体質から抜け切れない古参の社員達との別れもあった。「今回の改革で離れていった社員がいたことは大変残念で辛い出来事でした。しかし、組織の体質を変え筋肉質な体制を目指すには、仕方のない痛みだったと思います。試練を乗り越え、今では組織が強くなったという手ごたえを感じています」と吉川社長は話す。

文明堂銀座店の新たなチャレンジが始まった!

「売れ筋(ヒット)商品」は改革の賜物 

 自社の現実を直視するために、吉川社長が就任後すぐに行ったことがあるという。それは個室だった社長室を出て、社員の執務エリアへ席を置いたことだ。「一人ひとりの顔も見えますし、電話でのトラブルも全部もれ聞こえる。なんだってすぐに対応できる訳ですよ」(吉川氏)
社長は身近な存在になり、社内の風通しは当然よくなった。

そして、商品開発許可や社内決裁のスピードアップにも取組んだ。「開発許可が欲しければダイレクトに社長に持っていける。昔の古い体質の時は、1週間かかったものが今では1日で済むこともあります。とにかくスピーディーなところが今までと大きく体質が変わった点」と、吉川社長は話す。
すぐに提案が承認されればやりがいも生まれ、当然マーケットや新製品に対する意識も変ってくる。

 そのような中で、今、売れ筋商品も生まれてきた。「今回ヒットしたのは、夏のギフト用のセット商品なんですが、これは実は40代の社員たちが中心となって、前年も試した商品でした。その上で、売れ筋商品群や価格ゾーンなどを分析し、ボリューム感も出し、商品力を高めた商品だったんです」(吉川社長)

 今、この年齢層の社員が中心となり、新たな取組みとしてトライアルしているものがヒットしつつあるという。「昔の商品を2年、3年と継続して売り込んで、お客様に買っていただける時代ではありません。それを社員が認識して新商品をどんどん出していくという意識に変わってきている。それは改革の賜物であり、その結果こういうヒット商品も生まれているんです」と吉川社長は話す。

「本物」のカステラ文化・伝統を後世へ伝えたい

 最後に、これからの商品戦略について吉川社長は語る。「当社は直営店もありますし、流通チャネルとして百貨店、量販店もあります。それぞれがどういう顧客をターゲットにしているかで、売れ筋となる商品構成や品ぞろえ、価格帯もかわってくると思うんです。それを精査しないといけない。単に量販店向けが安ければいい訳じゃない。価格はもちろんですが、見栄えやボリューム感といったバランスが大切なんです」
その上で、フラッグシップの直営店の存在が意味を持ってくる。銀座界隈にあり、ハイクオリティな商品を求める顧客に支持されているという「ブランド力」があるからこそ、また量販店向け商品も生きてくるわけだ。

 文明堂銀座店はまだ改革の真っ最中だ。「着地点を目標値へより近づけられるよう、この1年が勝負になります。なんとか結果を出し、ゆくゆくは次世代の幹部たちへ安心してバトンタッチできるような基盤がつくれるよう、引き続きJMACさんにはサポートいただきたいですね」(吉川社長)

古い企業体質改善を図りつつ、カステラの伝統や文化をつなげていく。まだ改革ははじまったばかりだが、『本物のカステラ』を後世に残すため、新たな「文明堂銀座店」として既にチャレンジは始まっている。本物を届ける老舗店が顧客ニーズやマーケットに対応してどういう商品を投じてくるか、これからの同社の戦略に期待したい。

コーポレート・プロフィール

商号

株式会社文明堂銀座店

本社

〒104-0045 東京都中央区築地3丁目7-1

URL

http://www.bunmeido.com/

代表者

取締役社長 吉川 精二

事業内容

カステラ、焼き菓子等製造販売

お話いただいた方

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取締役社長 吉川 精二氏

担当コンサルタントからの一言

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